「駅に近いところにジェラード屋があるんだねえ」
甘いもの食べたくなってたからちょうどよかった、と蒲田さんが並びながらみんなに言う。
服を買った後のこと。近くにジェラテリアがあることに気づいて、男四人で店にある券売機に並んでいた。ここのお店は直接金銭のやり取りはしないらしい。近くに公園があるからだろうか。たしかに衛生的だし、便利といえば便利かもしれない。
さて、さくさくと進んでいく列でようやく俺たちの順番になった。カップかコーン、それからジェラードは一種類から三種類まで選べるらしい。
「俺はねーコーンがいいかなー。みんなは?」
「えっと俺はカップで」
「俺もカップですね。蒲田さんは?」
「俺は伊崎くんと同じでコーン!」
おのおの選んで券売機で券を買う。俺は何も言わずに二種類のカップにしたけれど、みんなだいたい同じようだった。だって、一種類じゃ物足りないし、三種類じゃ多すぎる。
「ジェラード……何選ぼう」
「レモンがおすすめらしいですよ。さっき券売機に貼ってありました」
「柑橘系のジェラードいいなあ、でも普通のバニラも捨てがたい……」
「そうなんですよ、どれも美味しそうなんですよね……」
うーん、と外からショーケースの中を見つめている三人がちょっとだけ面白い。俺もそこに混じって、さて、とジェラードのケースを見つめた。
「……ね、あれ」
「ほんとだ、みんなで食べるのかな……?」
ふと、後ろから声が聞こえてきたのでなんだろうと振り返ると女子高生たちがこっちを見てくすくす笑っていた。そのままかわいー、と笑って立ち去っていく。
ああ、俺たちのことかあ、と思ってまたショーケースの方を見ると、どうやらみんなにも聞こえていたようで、三人は少しだけ顔を赤くして固まっている。
「……ジェラード、いいじゃない。大の男たちで食べても……」
「まあ、目立つは目立ちますからね、俺たち……」
「……気を取り直して、選びましょう。ね、」
そうして中に入ると、ちょっとだけ恥ずかしそうにそれぞれがジェラードを選んでいく。結局蒲田さんはシンプルなバニラとレモンヨーグルト、恵さんはティラミスとチョコレート、根伊來さんはピスタチオとアーモンド、俺はラムレーズンとストラッチャテッラというミルクとチョコチップの入ったのを選んだのだった。
「あ、うまい。けどすぐ溶けそうー」
皆で公園の方に向かいながら食べ歩く。すると先にティラミスを一口食べたらしい恵さんがそう呟いた。コーンに大きく乗せられたジェラードは、たしかに早く食べてしまわないと溶けてしまいそうだ。
「本当だ、冷たくて美味しい」
「ねーつめたいねえ!」
喋りながらジェラードを溶かさないようにつまみ食いしつつ公園まで急ぐ。午後もすでにだいぶ過ぎたせいかここいらで一番大きく有名な公園は人もまばらで、俺たちは空いているベンチへと座った。
「はー人心地ついたねえ」
「ずっとたちっぱでしたからね」
そう蒲田さんと根伊來さんが話しているのを聞いていると、ふと視線を感じて振り返る。
「……食べます?」
俺のラムレーズンの味が気になっていたのか、恵さんがこちらを見ていることに気がついた。そのまま、恵さんにカップを近づける。
「え、いいの? じゃあ、俺のもいいよーはい、」
「あ、どうも……じゃあせっかくなんで、みんなもどうぞ」
「ありがとうございます」
「わーい、ありがとね真壁くん! じゃあ俺のもどうぞー」
それぞれ一口ずつ皆とシェアする……まあ確かに、普通の大の大人四人ではやらないかもなあ、なんてことをさっきの女子高生たちを思い出しながら、空を見上げてみる。まあ、でも普通じゃなくてもいいか、と思いながらジェラードをもう一口口に入れた。ラムレーズンは甘めで、俺の舌にあっていた。
五月ももうすぐ終わる。
いい天気だな、と思いながら空に浮かぶ雲を眺めていた。