君が来るのを待っていた。
恥ずかしそうな顔で、ちょっと泣いたような目をして、今にも飛びかかってきそうな君が来るのを待っていた。
そう仕掛けたのは俺だ。君の全てが知りたくて。
ぐちゃぐちゃにしたらどんな風になるのか
手を引いて顔を近付けたら?
抱きしめたらどんな香りがするのだろう
唇はどれだけ柔らかいのかな
その皮膚の感触は?
扉を開けて、君から声をかけられるのを待っている俺は、他人から見れば気持ち悪いやつに見えるだろう。獲物がかかって早くそれに食らいつきたい獣。自分の事しか考えていない自己中。でも自分からその事実を作ろうとはしない。
「ただの性欲じゃん!」
何が悪いんだ?全ての源だろ。
素敵な言葉も、シチュエーションも、全部全部性欲を綺麗にデコレーションしただけだ。
バレンタインデーに板チョコを溶かして固めた奴みたいなもんだ。
でもそのひと手間が大事だろ?
俺はそれを愛だの恋だのと呼ぶよ。
君を好きになった日のことを覚えてる。
教室にただ座ってるだけの君が、突然素敵に見えた。
光が当たって眩しい白い肌、すらりと伸びた綺麗な脚、八重歯の君。
可愛いね。思い切り可愛いで殴ってあげたい。そう思ってからは早かった。
思わせぶりな態度をして、君が好きな髪型にして、君の好きな話をして、君が好きなお菓子を持ち寄る…。
君が俺に惚れた頃に、ちょっと忙しいフリして連絡をやめるんだ。ごめんねって。それがしょうがないねってなる事だったらなお良し。そしたほら、君が来た。
早く俺のモノにしたくて堪らない…!ちょっと強めに噛んでやって跡を残すんだ。君だって、そうされに来たんだろ?
「…………ちょっと暇でさ。飯、食った?」
うんうん。ありきたりでいいんだ。変に凝った理由なんて考えなくていいんだよこういうのは!
「はは、分かる〜やる事ねえよな!課題以外!飯、食ってく?」
君が来るのをずっと待っていた。可愛い顔してやって来るのを待っていたよ。
いらっしゃい。