上の階の人が挨拶に来た。
ご家族で、ちょっとした手土産とともに。
「うるさくしちゃってすみません」
みたいな挨拶をされたとき、どう返すのがお互いにいい関係を築けるのか、未だにわからない。
①「え、全然気づかなかったですよー」
っていうのは嘘だ。だいたいわかるし。玄関からリビングまで一直線に走ったなーとか、いま洗濯機動かしてるんだーとか、ある程度分かっちゃうじゃない。だから、全然聞こえないとか気づかなかったとかいうのは無し。
②「全然気にならなかったですよー」
というのはどうだろう。聞こえてはいるけれど全然気になりませんよ、と。これが一番本心を表してると思う。ただ、一つ注意が必要なのは、この言葉を深読みされる可能性があるということだ。気にはならないけれど聞こえている。ぎりぎり気にならない程度なのか。我慢させてるんじゃないか。ある程度苛立ちが溜まったら爆発してくるタイプなんじゃないだろうか。……と、このように挨拶をしてきた人に対して色々な疑念を抱かせてしまう可能性がある。なので、迂闊に使ってはいけない、というのが結論だ。
③「ああ、生活音が聞こえるのは当たり前ですよ。聞こえないほうが怖いですし。多少聞こえますけど全然気になりませんよ今のところ。あ、でももしちょっとこれは……っていうのが万が一続いてきたらそのときはご連絡差し上げるかもしれませんね」
自分で書いていて分かる。この人絶対めんどくさい。多分言ってることは間違ってはいない。間違いではないのだけど、挨拶に来たそのタイミングで立て板に水の勢いでこれを話されたら内心超面倒な人住んでるなって思う。生活音聞こえないほうが怖い、も本心だし、今のところ気にならないっていうのも本心だし、あまりうるさくされたらちょっと一言言うかも、も本心だ。ただ、それを初対面で一気に言うのはなんか違う。
結局の所、初対面の場合には1つ目と2つ目の間くらいの反応をしておくのが一番なのではないか。
「うるさくちちゃってすみません」
「いえいえ、そんな」
「これからよろしくおねがいします」
「こちらこそよろしくおねがいします」
で、1ヶ月後とかある程度なれてきて合えば軽く挨拶するくらいの間柄になってから、天気の話の次くらいに「うるさくしちゃってません?」って話題になったら、お互いの関係性に応じて3番めの言い方も可能な場合もある、というところでしょう。
そんなことを、上の階の人が挨拶に来たのでつらつらと考えたのでした。おしまい。