自分でもよくわかんないんだ。
たまに、教授にわき腹を触られている…気がする。
一回目、すれ違った時、ニットをまとったわき腹を3本くらいの指でとん、とつつかれた。と思う。ちょっとくすぐったくて、でも、考えないようにした。
次はもっと大胆だった。後ろから抱えられたんだ。「ほいあなたはこっち」っつって、体を後ろから抱えあげられた。大勢の前で、喋れなくなった時だった。つれていかれて、椅子に座らせられた。もやっとしたけど、「もう、何すんだよ!」って、その時は笑った。
教授は優しい。私みたいなのにも、優しくしてくれたんだ。はたから見ても、かなり仲良しくらいの部類だったと思う。一緒に顔を寄せ合ってノートを覗いたりしていた。私は単に、たとえそれが教授だとしても、仲良しの人ができてうれしかった。
たまに、つん、と、わき腹に何か感じることがある。教授は素敵な人だなーと思ったけど、面と向かってつんとされたこともある。「しっかりしなさいよ」って、言われながらだった。これで多分3回目。どこからがセクハラか気になってるとか、だろうか。体を抱えられた時、あ、これ大丈夫かな、教授訴えられないかな、と思った。
仲良しだからこそだ。
気になるんだ。当たり前だ。教授とは、仲良しでいたいから。セクハラとかして欲しくない。私のこと好きじゃないのならなおさら。そういうこと、して欲しくない。なのに、人のいない大きな講義室の真ん中で、後ろから、抱え込まれた。
「…」
「…」
身じろぎすると、ぎゅ、と、少し力が強くなった。む、と思って、逃げ出そうとしたのに、体に力が入らない。
それでも、触るか触らないかくらいの、弱弱しい力だった。あったかい。体温が伝わってくる。
どうしよう。なんか、動けない。
「教授…あの…抱きつく人間違えてませんか…?」
体温がみるみる高くなる。気がする。測ってないけど。口が回らなくなる前に、何とか言葉を絞り出した。人体ってこんなに温かかったんだ。タービンもモーターも無いのに。
あれ?教授と私、告白とか、そういう類の契約とか、してないよね。じゃあこれは、何?犯罪?
まさか。教授が捕まっちゃう。
…いや。これが、告白、なの?
嘘だぁぁ…
ビンタとかもできたけど、私の体のどこにそんな勇気が残ってたのか、教授の手に自分の手を添えて、ゆっくり剥がすことができた。
「…冷静すぎません?」
びっくりした。教授が喋った。