繋いだ手が熱を持つ。
思うままに歌い踊って、上がった息を整えながら、俺は大好きな景色を目に焼き付ける。
ファンの皆の声で、アンコールにまたここに立てると分かっていても、この最高潮のステージを去るのはすっごく名残惜しい。
ライブステージには、わあわあと鳴り止まない大歓声が響いている、客席の端から端まで照らし出す照明が、ファンの皆のサイリウムが。寄せては返す波のように、また、夜空に瞬く星々のように。
世界で一番大好きなこの光景を見ていると、いつもふと思い浮かべることがある。誰かが聞いたら、「それはただの錯覚だ」と笑うかもしれない。けれどその感慨は、強い確信を持って俺の胸の奥底から、手足の指の先まで行き渡る熱のように、俺の身体を超えて、このステージの全てへ、そしてステージを超えて全世界へ広がっていくんだ。
───輝け、輝け、輝け! もっとこの世界にキラキラを!
俺は、それまでまったく別々の人生を生きていた、ばらばらの個が。本当に偶然、ううん。運命や奇跡みたいに集まって、このとびっきり幸せな時間を共有できることを知っている。
淋しいひとりぼっちの星が、今みたいにたくさん集まって大きな星座を描き出せることを知っている。
ひとりの夢が他のひとりの夢を呼び、誰かの熱がまた誰かの熱を引き寄せる。
それは、俺がひとりぼっちだった頃には夢にも思いつかなかった、世界を変える力だ。
かつて世界中を輝かせようと、たったひとりの太陽が無理をして燃え尽きてしまう時代があった。背負えそうにない重みや痛みを、俺も抱えていかなくちゃいけないんだと思いつめていたこともあったけれど。
俺は、この世界にたくさんある星のひとつとして、ひとりの人間として生きていいんだ。
呼びかければ、応えてくれる仲間がいる。それはなんて、幸せなことなんだろう。
ステージの端まで目いっぱい手を振って、ステージを後にしたら、舞台裏は大忙しだ。アンコールに向けて、機材の調整をするスタッフや奏者を横目に、俺たちも慌ただしく衣装替えをする。
ライブごとに変わる、ライブTシャツを着るのも、もう慣れっこではあるけれど。長時間歌って踊ってかいた汗で張りついたシャツは案外脱ぎにくい。
早着替えをして、髪を整えて、お互いの服装チェックをして。
観客席からはもう待ちきれないとばかりにアンコールが響いてくる。まだ終わらないで欲しい、早く始まって欲しい、矛盾した期待に胸を膨らませて、今か今かと待っている皆のところへ。ステージの上に、勢いをつけて駆け出していく。
「皆〜! アンコールありがとうっ☆ 今日も最後まで楽しんでいってね!」
願わくば、来年の今日も、そのまた先も。キラキラ眩しいこの景色の中で、皆と一緒に。
大きく息を吸い上げて、世界まで届く歌声で。さあ、響かせよう、俺たちのあんさんぶるを!