このご時世、雷神だってSNSをする。セルフィーをアップロードしたり、仲間との写真をタグをつけてアップロードしたり、知り合いやフォローしている人間の投稿にいいねをしたり。
その上ソーはニューアスガルドの広報みたいなものだから、トレンドなんかもちょっと気をつけてチェックするようにしているのだ。
だからソーは知った。
「弟の日?」
毎日何かしらの記念日があるということを。
ソーが毎日のルーティンにしているSNSチェック、その中で目にした弟の日という単語。どこかの国では3月6日は弟の日ということになっているらしい。弟の日があるのなら兄の日だってありそうだが、それは後で調べてみることにして。
「弟の日か……」
弟の日に合わせて、普段言えない感謝の気持ちや、ちょっとしたプレゼントを弟にあげてみよう!
なーんて言葉に、ソーも思案する。
確かに、ロキには家のことを色々やって貰っているけど、それを表立って感謝したことは無いし、一応プレゼントはイベント事に渡してはいるが、月に1回あるかないかである。
「ふむ……」
こういう事は乗った方が楽しいものだ。
「よし、ロキに欲しいものを聞こう」
「テッセラクト」
「ダメだ」
「うーん、私の言うことをよく聞く下僕とか?」
「ダメだ」
「ムジョルニア」
「お前……」
弟の日だからとロキに聞けば、ふざけた答えしか返ってこない。
ソーがその答えにこめかみをひきつらせていると、呆れた顔のロキが言う。
「別に私にプレゼントを送ろうって気持ちは結構だが、今散財して大丈夫なのか?」
「大丈夫って」
「もうすぐホワイトデーだろ、バレンタインにあんなにチョコもらっといて、お返ししないつもりだったのか?」
ロキの言葉にハタと気がつく、確かに、ソーはバレンタインで両手で持ちきれないくらいのチョコを貰っていたのだ。
すっかりホワイトデーの事なんか忘れていたソー、だが、バレンタインにチョコを大量に貰っていたのはソーだけではなくロキも同じで。
「お前だって沢山チョコ貰ってたじゃないか!」
「私はもうお返しの準備は終わってるけど?」
「なっ……!?」
「クッキーを焼くつもりだから、その材料はもう用意してあるし」
数日前、ロキがお菓子の材料を沢山買い込んでいたことを思い出すソー。その時はロキがまたケーキか何かを作るつもりなのかと、どんなケーキを作るんだろうかと期待していただけに、お返しのための材料だと聞いて内心ちょっぴり落ち込むソー。
だが落ち込んでもいられない、ソーにはお返しを用意するという課題が残されている。
「あー、俺の分も一緒につくるってのは……」
「人へのプレゼントを横着しようとするな」
「はい……」
にべもなく断られて肩を落とすソー、そんなソーにロキは言う。
「仕方がないな、どうせ今日は暇だし、一緒にプレゼント探してあげるよ」
「本当か!」
「ソーのセンスだと酷いの選びそうだし、それで評判落とされても迷惑だし」
「酷いのって……」
ケラケラ笑いながら、外出の準備をするロキに、ソーもちょっぴり肩を落とす。それでもロキがお返し選びに着いてきてくれるのなら心強い、やはりプレゼントには他の人の意見だって取り入れたいものだ。
「ついでにお前へのプレゼントも探すか」
「ついでって何だよ」
軽口を叩きながら、ソーのホワイトデーのお返しを探しに店へ向かうふたり。
「これは」
「おいおい、業務用のお菓子をプレゼントするのか?」
「じゃあこれは」
「馬鹿、高すぎる」
「じゃあこれは……」
「ふむ、それは中々、いやちょっと待て、確かソーにチョコを渡した奴の中に、アーモンドアレルギーの奴がいたような……これもダメだな」
「そんな……これじゃあ決まらないぞ!」
ソーが選ぶもの選ぶもの、全てにロキがダメ出しをしていくので、ソーも思わず悲鳴をあげる。
「プレゼントってのは簡単に決まるものじゃない、だろ?」
「それにしてもだ!」
ガックリと肩を落とすソーに、ロキも慰めるように肩を叩く。
「探していけばいつかは見つかるさ」
「そういうものか……?」
「見つからなかったら、まあソーの評判が落ちるだけだが」
ロキの言葉に、更に肩をガックリと落とすソー。そんなソーを後目に、私は違うところを探してくるよと、さっさと行ってしまうロキ。落ち込んだままのソーは、力なく売り場を歩き回る、どれを見てもロキの許しが出そうなお菓子は見当たらない。
もうお返しはしなくていいんじゃないか、用意できなかったと謝って回った方がいいんじゃないかと、やや諦めムードなソーの目に、あるお菓子が入ってくる。
催事場ような場所にある、ちょっぴりお高い焼き菓子で、最近話題になっているとか何とか、そしてロキがテレビを見ながら、食べてみたいなぁと言っていたお菓子が、ちょうど今日は売っていた。
じっとそのお菓子を見つめる、今日はホワイトデーのお返しを探しに来たが、そもそもは弟な日だといって、ロキにプレゼントを渡すつもりだったじゃないか。ちらりとお菓子の値段を確認する、安くはない、けれど買えないことはない。
「ふむ……」
どうしたものかと悩むソーは、おもむろに財布を出して。
「ほら」
「おおっ?」
ロキが差し出した袋の中には、キャンディやマシュマロや、カラフルなお菓子が詰め込まれていた。
「ちょうど安く売っていた店を見つけたから買ってきた」
「ろ、ロキ〜〜〜!!」
「まあ、バレンタインの売れ残りのたたき売りかもしれないが、まあ日持ちのするものだから問題ないだろ」
どうだと言わんばかりに胸を張るロキ、そんなロキにソーも頭が上がらない。
と、ソーは先程買ったロキへのプレゼントを思い出す。
「そうだ、これをお前に」
「これ、話題のお菓子じゃないか!どうしてこれを……?」
「お前が食べたがってたのを思い出してな」
「兄上……」
笑顔のロキは頬を染めて、そっと、ソーに手を伸ばして。
「あだだだだだ!!!」
思いっきりソーの耳を引っ張った。
「プレゼントで懐柔しようとしても無駄だぞ、私が立て替えたお菓子の代金はきっちりソーに払ってもらうからな」
「払う払う!もちろん払うから!」
「ならいい」
ぱっとロキが手を離せば、ソーも慌てて耳を押さえる、よかった、ちゃんと耳がついている。
ソーが涙目になりながらもロキを見れば、首まで真っ赤になっていて、プレゼントをもらって嬉しいのが恥ずかしいみたいで。
「いたた……恥ずかしがるならもうちょっと穏やかに恥ずかしがれよな……」
「何か言ったか?」
「いーや、何も」
ロキからのトゲのある言葉を受け流し、ロキから受け取ったお菓子の袋を持ち直し、ソーとロキは家へと向かう。その道すがら。
「ああ」
「どうしたソー」
「いつもありがとうな」
「……急にどうした」
「んー?」
"普段言えない感謝の気持ち"を伝えてみたソー。そんなソーにロキは怪訝な顔をしながらも。
「照れてるのか?」
「照れてない」
「そうか?でも顔が赤いような……あっ!おい待てロキ!」
「待てと言われて待つか!」
どこかちょっぴりうれしそうで。
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弟の日
初公開日: 2021年03月07日
最終更新日: 2021年03月07日
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弟の日のご兄弟
事後のお話
事後のご兄弟のお話
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ソーロキ
NIKI
ご無沙汰ぶり
ご無沙汰してましたなご兄弟
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ソーロキ
NIKI
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