コンビニ・外
コンビニに入る有希
同・中
コンビニ店員「らっしゃいませーおはよーざいまーす(適当に)」
有希「おはようございます!」
店員、驚いてこちらを見ている。
事務所・中
部長「有希くんおはようございます」
有希「おはようございます! 本日はお日柄もよく・・・」
部長「なんだか…まあいいです。もう風邪は大丈夫ですか?」
有希、デスクに座って集中するために息を吸う。
ぶつぶつと「言葉を大切に」と呟きながら
相生「なんだありゃ」
倉持「綿毛さんがストレートなこと言ったんだな多分」
有希「もう一度、うまく好きだって伝えられる様な気がしたんだ」
羽垣「…私もね、言葉の扱い方、全然わからなかったよ。だからお兄さんに頼んだの。ねえ、今度は、(手を握る)私が力にならせて」
有希、涙を袖で拭きながら肯く。窓から夕日が差し込んでいる。
羽垣「きっとね、言葉は声だけじゃない。コミュニケーションだって言葉よ」
有希「どういうこと…?」
羽垣「例えばね、朝友達と会う時に、大きな声でおはようって言ったら、誰だって気持ちいいなーって感じるでしょ(うん)好きだって言う時も、なんで好きなのかもわからないんじゃ、好きってだけ言われてもわからないよ」
アトリエ(立元宅)・中
立元、一人でペンタブレットを動かしながら線を描いている。また一つ、また一つと描く。長い髪を耳にかける。
学校(10年前)・美術部・中
有希、
有希M「僕は文芸部だった。文芸部と美術部は、文化祭の時期に、小説にあったイラストを、イラストにあった文章を考えるというイベントがあった」
立元、真剣な表情で有希が手渡した小説を読んでいる。夕日の中でも描いている。
授業の最中も、休みの時間でも描いている。それを、有希が遠くの席から見つめている。
羽垣「できたよ」
有希、嬉々とした表情でそのイラストを手にとって、「すごい」と呟く。
立元、少し恥ずかしそうに笑った後、部室を後にする。
有希M「その優しさ、恥ずかしくて素っ気なくするところも」
朱音宅・中
有希「全部好きだったな〜〜(悲しげな表情で)」
体育座りでコタツに入って落ち込んでいる有希の肩を、羽垣がポンとする。
羽垣「これからでしょ!」
有希、羽垣のことを見つめる。
朱音「とりあえず、アタシの料理を褒めるとこからね(にやっ)」
回想・朱音宅・内・夜
朱音「そもそもなんだけどさ、有希は立元さんのことが好きだったわけで、振られてもいるわけじゃんね」
有希「うん。改めて言われると胃が痛いけど」
朱音「でもさ、立元さんからしてみれば、大昔にそういうことになっただけの相手なわけだよ。だからさ、あんまし気にする必要ないって」
バス内・昼
僕は、自分の言葉を磨きたいんじゃない。僕の言葉を使って、彼女のことを輝かせたいんだ。
立元、入り口に設営された、展覧会説明文を読む。
立元「素敵」
展示室のライト(ベージュの薄い光)が、輝いている。有希、うっとりとして立元を見つめる。
回想学校(10年前)・校門・外
有希「好きだ」
立元「…(驚いた表情)えっ」
有希「お、覚えていてくれたんですか」
羽垣「だって、あんまりにも突然だったから、むしろ忘れられなくて(笑う)…お久しぶりです」
有希「(笑みを浮かべながら)お久しぶりです(頭を下げる)
朝飯を食べよう