振り返り配しまーす
こんばんは!よかったらコメントとか応援ください🤗
どんな話にしようかな〜と真っ白な状態から書き始めるので、のんびり眺めて行って下さい。
というか続きにてをつけるのが久々過ぎてどんなテンションにすればよいかなーーーとめっちゃ悩んでいます。
書いた所を読み直しながら書くタイプの人なのでしょっちゅう上下します。。
前回の振り返り:
・ベスト・オブ・ファーコート レオナさん
・監督生、合同授業でリドル先輩に魔法の飴玉をもらう の2本でした。
来週の監督生さんは〜?じゃん・けん・ぽん!←イマココ
その日もモニター越しに学校生活を送っていたイデアは、昼休みの間空き教室でタブレットをスリープモードでぷわぷわ浮かせて休んでいた。何しろタブレットはタブレットであるので昼食を摂る必要が無く、多くの生徒達が食堂に向かう昼の時間はイデアにとって貴重な精神の休憩時間であった。
教室の電源でタブレットを充電させながら、自分は空調の効いた自室でお行儀悪くゲーミングチェアに寄りかかって、ランチ片手にのんびりとソシャゲをするなりマンガを読んだりのんべんだらりと過ごす。
あぁ、なんて快適なタブレット受講スタイル。この効率の良さが受け入れられないなんて教師陣は頭が硬すぎる。
堕落した生活スタイルを満喫していると、タブレットが人間の接近に反応して通知音がピコンと鳴ったので顔を挙げた。
するとカメラの向こう側に映ったのは、監督生がそろそろとドアを開けて、半身を乗り出した所であった。
タブレットの画面がスリープモードになっているのを見るとガクリと肩を落としたので、あわててキーボードの適当なボタンをタン、と叩く。
即座にオンになったタブレット端末と手繰り寄せたマイクが正しく通信しているのを確認してから、イデアは監督生に語りかけた。
「監督生氏、どしたの。」
『イデアさん・・・。』
「ン?」
珍しくも気落ちした様子でトボトボ近寄ってきたので、スイっとタブレットの高度を下げてやった。
「なに、どうしたの。」
この天真爛漫な後輩が明らかに「わたし落ち込んでます」という表情でイデアの元に来るなんて珍しい。一体どうしたことかと眉間にシワが寄ってしまうのも仕方が無いことであった。
というか、このスーパー頑強メンタル☆監督生氏を落ち込ませるなんて何者の仕業ぞ?
手始めにスマホの機能を遮断して、何もできない内にSNSからクレジット果ては銀行のアカウントまで全部強制BANしてまともに生活できないようにしてやろうか。それとも裏垢だか別垢だかに投稿しようとしてる内容を本垢にも全部投稿されるようなウイルスを作って送り込み社会的抹殺を試みるか?
下手人が何をしたかも知らないままに監督生を凹ませたらしい人物をとっちめる方法を50通りほど考えた所で、監督生は珍しくもカメラを見もせずに、指先を遊ばせながらこう述べた。
『イデアさん、ホリデーはご実家にお帰りになるってほんとですか・・。わたし、てっきりイデアさんは学校に残るものとばかり思って・・・。いっぱいゲームとか調べてたのに・・・。』
せ、拙者か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
イデアは監督生がモニターの向こう側に居るのを良いことに、天を仰いで片手で自らの目を覆った。
だって、監督生の瞳にはうるうると涙が溜まりさえして、かわいそうで見ていられなかったから。
イデアからすれば監督生はかわいい後輩兼推しの配信者なので、普段から君を悲しませるもの全て僕が滅ぼそう構文が強烈に光るモンペになりがちだ。
しょうがない、だってオタクだから。オタクってそういうクソデカ感情を推しに抱きがちだから。
イデアはナマモノを推すにあたってマナーを大事にするオタクであるが、しかしながら監督生に限っては後輩兼推しなのだ。まず「後輩」であって、そして「推し」である。推しが後輩なんじゃない。後輩が、推し。
即ち監督生氏が困っている時にイデアが助けてあげるのは当たり前のことで、誰にも責められる謂れは無いのだ。だって、イデアは監督生の先輩なんだから。
そんな複雑なオタク心から監督生案件に限っては常識・倫理・節度を失いがちなイデアはしかしいざこういった事態が訪れてみれば混乱しきりで、優秀であるはずの頭脳も役に立たなかった。
だって、監督生が「わたし悲しいです」と感情をぶつけてくることって実はメチャクチャレアなのである。
ここへ来た当初お金が無さすぎて一週間ツナ缶だけで乗り切った時ですら監督生は誰にも相談もしなかった。
にんげんさんの食生活事情に馴染みのないグリム氏が「ここ一週間、ツナ缶オンリー生活で嬉しいんだゾ」とにこにこの笑顔で零したことで発覚し、エーデュースがようやく心配出来たくらいである。
なお焦り散らかしてキレかけのエース氏は「馬鹿!?ほんと監督生馬鹿なの!?そういうのはちゃんと言って!?報告・連絡・相談ってご存知じゃない感じ!?」とハーツラビュルのお茶会のスケジュールというスケジュールに監督生氏をブチ込んだし、混乱しきりのデュース氏は「・・ハッ、卵!たまごは栄養が有るって母さんが言ってた!食え、監督生!!」と生卵を飲ませようとしていた。
結果監督生氏は体重がちょびっと増えて明らかに肌艶が良くなりヴィル氏に褒められて嬉しそうにしてたりしてたので、栄養は大事。ハッキリ分かんだね。
ともかくも、そんな我慢強い監督生氏である。
こんなに悲しい顔をさせるなんて、例え自分であっても許し難い。いやしかし監督生氏にどうやって詫びれば?焼き土下座か?でもそれで監督生氏の気分が晴れるとは思えないしどうすれば
・・・それにしても自分が実家に帰ると一緒に遊べないからって寂しがる監督生氏はちょっとかわい・・・いやいやいやいやちょっと待って、待って????マ???拙者と遊べないから寂しいって何?何語??これなんてギャルゲ・・・あ、ムリ。は????監督生氏をそういう目で見るの地雷でーす。解釈違いでーす。一度死んだ方が良いのでは?というか監督生氏はてっきりエース氏かデュース氏の実家にお呼ばれすると思って声もかけなかった拙者完全に気が利かなすぎでは?いやでもまさか拙者の実家に誘っても来たいって言う筈無いだろうしホリデーに学校に残るには事前に申請と許可が必要であって今から実家に帰るの止めるのはムリだしはい詰んでるーーーー。どうしようも無しーーー。オタク、推しの涙に死す。ー完ー 制作:NRC
『イデアさんってば!』
「はい!!!!?」
やべー、何も聴いてなかった。
何やらおしゃべりをしていてくれたらしい監督生氏は『聞いてませんでしたね』とちょっとジト目になったものの、直ぐに『もう、今度はちゃんと聞いててくださいよ』ともう一度言い直してくれるらしい姿勢を取ったので、イデアはゲーミングチェアの上で正座をした。
すると、監督生氏はちょっとだけ拗ねた風に、斜め右下を見ながら言った。
『ご実家、楽しんでくださいね。・・・でも、もし夜とか暇な時間が有れば、・・・暇ならで良いですけど、・・・あの、』
普段の監督生からは考えられないほど、か細い声。
『・・・わたしとも、遊んでくださいね。』
きっと、それは、本心なのだろう。
悔し紛れとか、負け惜しみとか、そういう類ではない。イデアと遊びたかった気持ちも、実家で楽しんできて欲しいという気持ちも、きっと、どちらも監督生の本心だ。
帰るお家が無い監督生は、このホリデーをどう過ごすんだろう。グリム氏は一緒に残ってくれるんだろうか。もし自分がもっと要領が良かったら、陽キャであったなら。この子を悲しませないであげられただろうか。
『ラジオも、聴いてくれますか。』
「聴くよ。」
イデアはこれに、即答した。
イデアというオタクにとって、それは矜持であった。
「実家に帰ろうが、学校を卒業しようが、定期じゃ無くなろうが、僕はずっと君の配信を追いかけるよ。」
監督生は、ぱっと視線をこちらに戻した。
イデアこだわりの4K画質のモニターと自作タブレットの高画質カメラはリアルタイムの映像も鮮明に写す。まるでドラマのワンシーンのように、モニター越しに監督生の目とイデアの目がバチリと合った。イデアは期待に潤む監督生氏のピュアッピュアな瞳に一瞬怯んで、けれどもモニター越しに目を逸らさなかった。
『・・・ほんとう?』
「ほんとう。」
『ずっと?』
「君が、やめない限りは。」
配信者の情熱は儚いものである。楽しくなくなったらどうせ監督生氏も辞めてしまうんだ。だから、せめて続けている内はと思ってしまうのは健気なオタク心であった。
でも、監督生が配信を辞めてしまってはイデアと監督生の接点が無くなってしまう。それは、困る。
どうしてか分からないけれど、困ると感じる心に今は素直に従って、イデアは監督生を引き止めようと、柄にもない言葉を重ねた。
「だから、・・・ちょっとホリデーで離れるくらい、何てことない。また、直ぐ会えるよ。」
・・・あぁ、いま自分は、監督生を慰めたいんだなぁ。
そう思い至れば、胸にストンと落ちたように、自分の心に納得できた。
自分は、このかわいくてかわいそうな後輩兼推しを、慰めてやりたいんだ。
悲しげな瞳を見ているのがつらくて、いつもよりちょっと猫背になった背中をそっと撫でてあげたくて、目の端の涙が乾くまで隣で一緒にゲームでもしながらバカな話しができたならと考えて、どうしてタブレット受講の日にこんな大事なこと、と監督生を恨みがましくさえ思った。
授業やちょっとした雑談みたいなものは端末越しで構わない。だけど、今日のは、なんか、違うだろ。
端末越しのコミュニケーションは効率的で、便利で、合理的だけど。でも、イデア・シュラウドにとって、オンボロ寮の監督生は、生身の存在なのだから。涙がにじむ程のイベントをこんなモニタ越しに起こされてはたまったもんじゃない。
弱った彼女の手すら握ってやれない自分の無力さを噛み締めて、けれども今できる精一杯の真摯な言葉を並べて、監督生に真っ直ぐ向き合えば、監督生もまたこちらをまっすぐに見つめていた。
『・・・そうですよね!ホリデーなんて、あっという間ですよね!』
「・・・アッ、ハイ。」
ーーーーしかしながらこの監督生、とにかくメンタルが健やかで頑強なのである。さっきまでしんなりひなびたお花みたいにいかにもかわいそうだった監督生がおひさまみたいににこーっと満面の笑みを見せたので、イデアは心配してかわいそうに思った気持ちが瞬く間に霧散してその代わり自分の背景に宇宙が広がっていくのが分かった。あ、今スペースネコチャンの気分。ついでにテロップで素人は黙っとれって入れてもらっても良いっスか?
ちなみに、イデアは監督生のこういう所が決して嫌いではない。
どっかに感情のスイッチが付いてんのかってくらい自分の機嫌を直すのが上手な所は彼女の美徳で、陰キャのイデアが安心して彼女とつるめるのはこうしてとにかくいつも上機嫌で居てくれることも一因となっている。決して嫌いではない。嫌いでは、ないがーーーー時折こうして振り回されてみれば、メチャクチャ脱力感で虚無い気持ちにもなるというものだ。
あぁ、それにしても、危なかった。
なんかマジになって、後から振り返ったらメチャクチャ恥ずかしい事を取り返しがつかないレベルで言い出しちゃう所だった。
でもとにかく監督生が元気になってくれて良かったと、ようやく力を抜いてゲーミングチェアに寄りかかって座った。
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それからピンと伸びたチューリップみたいににこにこ元気になった監督生がイデアと遊ぶ為に調べたゲームのことをイキイキ話しているのをウンウンと頷きながら聞いていれば、再び教室のドアが突然開かれた。
しかも監督生がそろそろ開けたのとは対極に、勢いよく開かれた戸はバタンと乱暴な音を立てて閉じられたので、監督生はビクリと肩を揺らしたし、画面の向こうでイデアもちょっとだけビクついた。
監督生は一体何事かと慌てて振り向いたが、イデアからは監督生越しに誰がそうしたか見えていたからだ。
『・・・あれ〜?小エビちゃんとホタルイカ先輩じゃん。』
それは、フロイド・リーチであった。小柄な監督生の日照権を侵害する長大な身体の持ち主は、とにかく頭身が高く、脚が長い。そして陽キャ。アズール氏のご友人と言えども、普段イデアが関わらないタイプのお人である。だって部活がバスケ部で趣味が靴集め、オマケに顔もスタイルも良いと来たら陽キャの極みである。おっ、陰キャを極めた拙者と極み対決しちゃいます?と考えた所で、監督生がそろそろと8歩かけて進んだ距離を大股の4歩で詰めて、粗暴な人魚はにぃい、と笑った。
その笑い方に、イデアは思わず顔がひきつる。対決なんてオコガマシカッタデス、スイマセン。
だがしかしこの気まぐれ、どうやら今日は機嫌が良い『アタリの日』であるらしい。ガタガタと監督生の後ろまでイスを引きずってきて、そこに浅く腰掛けると監督生の頭を顎置きにしてタブレットを覗き込んだ。
『これでアッチに見えてんの?』』とカメラ部を指差してマイペースににこにこしているフロイドの監督生氏に対する距離感にイデアはあんぐりと口を開けた。何たって、監督生は今ガバリと開かれたフロイドの脚の間にイスごと囲まれて、顎は頭に乗せられてるし、フロイドの手は監督生越しにこちらを指差している。まるで包み込むように密着した距離感は、イデアの主観では単なる先輩と後輩にしてはいささか近すぎる。
しかし監督生は平然とした様子で『はい、きっと』とこれまたにこにこしながら返事をしたので、イデアは再び宇宙を背負うこととなった。遠くで球体の宇宙コアがSPAAAAAAACE!!と叫んでフェードアウト。
なんぞ?これが陽キャの距離感なんです???
思わぬ精神攻撃でイデアがカルチャーショックを受けているところに、フロイドは「あ、そうだ」と思い出したように話しだした。
『ホタルイカ先輩、アズールから聞いてるかもしんないけどさぁ、オレとジェイド、ナントカっていうゴリラになりきるゲームが2人じゃ遊べないからメンツに入れって言われてんの。ゴリラになりきるって何?ウホウホ言ってりゃ良い感じ?』
面白そうだからオレは良いけどさ〜、とフロイドは続けたが、イデアにとっては初耳である。ゴリラ?は?何て???謎チョイスに思わず言葉を失ったが、監督生が『ゴリラ園に現れた密猟者を捕まえるゲームですか?』と両手でフロイドの顎をどかそうと押し上げながら尋ねたので思わず「ファッ!?」と声を挙げてしまった。
ここには監督生だけでなくフロイドも居るんだったと慌てて両手で口を押さえる。嘲笑されるか何そのキモい声うぜーとゴミムシでも見るような目で見られるもしれない。そうなったらもうおんもに出れないどうしよう。
生命の危機的な意味でドキドキしながらそろそろと視線をやれば、フロイドはイデアの心配を余所にキョトンとした顔で監督生の抵抗する両手に頬を押し付けながらケラケラ笑った。
『え?ちげーちげー。ゴリラオージ?になって、オーサマになる為にバナナソーダツセンすんだって。』
イデアは馬鹿にされずに内心ほっとしたのだが、今度はバナナ争奪戦って何ぞ?という気持ちで胸がいっぱいになった。アズール氏のゲームチョイスがあまりにも謎すぎる。センスをどこに置いてきた?ハァ、感情が忙しすぎる・・・。もう拙者この場に要らなくない?帰って良いスか??いやでも監督生氏が居るしな・・・この危険人物と2人で置いてけなくないか。いやでも命は惜しいしな・・・。
『ね、小エビちゃんもそういうゲームすんの?
『うーん・・・イデアさんとやりたいなって思って調べたくらいです。』
『ふぅん。』
ちょっと唇を尖らせたフロイドは、監督生の抵抗など無いかのように相変わらず監督生に頬をもっちりくっつけていたが、パッと離して監督生の横までイスごとズルズル出てくると、「良いことを思いついた」という顔でにぱっと笑った。
『小エビちゃん、ホリデーはここに残んでしょ?オレとジェイドとアズールも実家には帰んねーからさ。ソレで一緒に遊ぼーよ。』
そう言うなり監督生の返事も聞かず「ゴリラ園に現れた密猟者を捕まえるゲーム」を通販サイトでポチって『そうしよ』ってニパっと笑ったフロイドは、「購入完了」の画面を監督生と、なぜかイデアのタブレットのカメラに向けた。
『ホタルイカ先輩も、ホリデーから戻って来たら一緒に遊ぼうねぇ。』
にこにこと無邪気に笑うフロイドの姿に感じるこれは何だろう。
何ていうか、アレ。アレに似ている。
「幼女味・・・。」
『『何て?』』
「ヒエッッ何でもないデス!』
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久々の更新&短めになり恐縮ですが、のんびり書いていきたいと思います!
なんか最近感覚がマヒしているんですが、1万字未満でも投稿して良いんですよね・・・神は言っている・・・しない投稿よりする投稿・・・出ない神本より出るクソ本・・・。
寒くなってきた上に12月は社会人主婦学生問わず繁忙期かと思いますが、あったかくして元気にやっていきましょう〜!
テキストライブをみてくれた方、お付き合い頂いてありがとうございました〜!