土方歳三は、振り返らない男であった。
 否、彼の男を振り返らない男と形容するにはいささか語弊がある。
 土方歳三は、振り返ることの出来ぬ男であった。
 彼の生きた時代は正しく動乱の最中で、彼の死によって古き時代は幕を閉じた。
 最後まで、歩みを止めることなく進み続けた彼が、最後まで掲げ続けていたのが己の誠であった。
 ただそれだけを掲げて生きていたと思われていた彼であったが、しかしもう一つだけ、どうしても捨てきれない想い出があった。
 己の誠と、唯一。そのために、彼は進み続けたのだ。
パァンとやけに耳に残る音と、直後腹を貫いた熱。
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