ギムナジウムのやつの囚配 終わらせたいきもち え?急に眠い なに?
*以下本文*
 随分な美人が来た、と。一番始めにそう思った。生徒総監であるデソルニエーズに学長室の隣、一番上等な応接室に呼ばれたルカ・バルサーは、眼前の少年を見、感心せずにはいられなかった。ひかえめな体躯に溢れんばかりの緊張と些かの不安を湛え、おおきな瞳を揺らめかせているさまでさえ庇護を煽り、外見的幼さとは何処か不釣り合いな雰囲気を際立たせた。
「すまないね、生憎今はこの変人の部屋しか空いていないんだ。それが不安なら私の部屋に来るかい?ベッドが入らないから私と一緒に眠ることになってしまうが……」
「酷い言い草じゃあないか、生徒総監殿。わざわざ呼び出しておいてそんな言い方は無いだろう。それとも、早々に彼を手籠めにしてしまおうって算段かい?」
「弁え給え、ルカ・バルサー。部屋をオイルまみれにする男と同室になる彼の気持ちも慮れないのか?貴族の子息が聞いて呆れるな。グランツ、君が望む場所を選ぶと良い」
 グランツと呼ばれた彼は困ったように笑み、腕の中に抱き締めていた便箋にペンを走らせた。成程、唖者か。
『バルサーさんのお部屋にお邪魔したいです。その、デソルニエーズさんと一緒のお部屋は緊張してしまいますから』
 生徒総監――ジョゼフ・デソルニエーズは少なからず驚いたようで、澄んだ青の眸を丸くした。結った銀の髪が不意に揺れ、薔薇の香りが漂った。
「本当にいいのかい?君の決めたことだ、勿論尊重するが……」
「お手をお取りいただき光栄だね。グランツ君と言ったか、宜しく頼むよ。ああ、部屋は綺麗だからそのままおいで。先日友人に手伝って貰って片付けたばかりなんだ」
 微笑み、彼に右手を差し出すと、いかにも恐る恐るといったふうに握り返された。ルカのものより薄く、あたたかい掌。ああ、念のために身なりを正してきてよかった、と心底思った。
「……では、荷物は後程バルサ―の部屋に運ばせるとしよう。ねぇグランツ、もしなにかあったらすぐに私に言うんだよ。私はいつでも君を歓迎するからね」
 デソルニエーズの細い腕がグランツの腰元に触れ、ゆるりと抱き寄せる。グランツは抵抗するでもなく、さっと頬を赤くして、僅かに頷く。麗しの生徒総監と曰く付きの転校生。ルカはむず痒いような疎外感を覚え、わざとらしく咳払いをして仄かに甘ったるくなった気配を裂く。
「もう用は済んだかな?早く戻って読書の続きをしたいのだが」
「君にはもう用はない。さっさと帰り給え」
「そりゃどうも。じゃあグランツ君、また後で」
 ルカが部屋に戻ってから数刻後、荷物と共に訪れたグランツは相変わらず緊張に肩を強張らせていた。そんなに硬くならないでくれ、と背を叩いてやると、ようやく彼の頬が少し緩んだように見えた。さして多くない荷物を解き、入れられた真新しいベッドに座したビクターの隣に腰を下ろす。スプリングが軋み、まっさらなシーツが肌に心地好かった。
「さて、……日常規則については既にデソルニエーズから聞いているだろうから大丈夫だろう。君の学生生活が素晴らしく豊かで輝きに満ちたものとなることを祈っているが、お生憎様、先の通り私ははみだし者でね。夜中に起き出して機会を弄るし、そのまま眠りこけてミサに出ないなんてしょちゅうだ。下手すれば二日食事を忘れて机に齧り付く。それでも構わないというのなら、此処に居れば良い。共同生活は慣れていないから、どうだろうか、互いに自由にやろうじゃないか。」
 グランツはこくり、頷く。愛らしい見目に反して存外に肝が据わっているらしい。
「今夜は君と親しくなれたらと思うよ。食堂で質問攻めに遭うかもな!お喋りな奴が多いんだ。だから噂なんかもすぐに広まってしまって大変なんだよ。君がこんな美人だなんて知ったら皆仰天するだろう。反応が楽しみだ」
 喉を鳴らして笑うとグランツも綻ぶように笑う。暫し取り留めのない話をしていると、グランツが少し躊躇したのちに紙に記した。
『あの、バルサ―さんはどの言語を専攻されているんですか?僕はラテン語を取っているのですが……』
「おや、奇遇だな。私もだよ。過去のノートを見せてあげよう、……と言いたいところだが、ノートは書かない主義でね。困ったな……あ、後でアンドルーに借りてこよう。私の数少ない友人のひとりでね、堅物だが良い奴だ。是非紹介させてくれ」
『何から何までありがとうございます。貴方のような人と最初にお近づきになれて幸運です』
「はは、こちらこそ君に出会えて幸運さ。それと、バルサ―さんなんてよそよそしい呼称はよしてくれ。ルカで構わない。私もビクターと呼ばせてくれないかい?」
『貴方さえよければ、喜んで』
「では決まりだな。改めてよろしく頼むよ、ビクター」
 手を差し出すより先に、今度はグランツ――ビクターの指先が掌に触れた。ルカが動くより先にしなやかな爪先がするり、絡む。先程は感じなかった痺れが彼の触れた箇所から伝う。爪先が微塵も動かない。心臓が突如やけに大きな音をたてる。なにかを言おうとしている意識があるが、敵わない。身を動かすこともできないまま、白い両の手に包まれた己の手の甲にビクターの唇が触れた。色付いた柔い唇が触れた。途端、百合の香りが鼻腔を擽った。室内からすべての音が消え、時が息をひそめて、ああ、その掌は誰の物だ?
 ビクターがくす、と笑う吐息で我に返る。ぱっとブラウスを翻して、甘い香りはルカの傍らを離れた。ビクター、と呼びかけるより先に壁に棄て置かれた時計が夕餉の十分前を報せた。ビクターはルカのシャツの裾を引き、行きましょう、と視線で訴えた。
「あ……あ、そうだね。行こうか。皆待ってる」
 彼の手を取ってドアを開け、廊下に出る。初春にしては冷えた空気が首筋に触れ、そのときはじめて薄らと汗ばんでいたのに気が付いた。百合の香り、まなざし、……頭が鈍る。気の所為だ、きっとそうだ。あんなの。同級生の喧噪が近い。隻手で髪を掻き上げ、溜息を吐く。ビクターの手を握っている掌はやはり僅かに痺れたままであった。
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これの次はあれです 囚配でちょっとやらしいかんじでもだもだします R18ではないがもだもだします
おわり!ありがとうございました~
 
 
 
Latest / 113:54
43:28
laPo
フォロワーさんがもし来られていたらコメントくれるとよろこびます かしこ……
93:59
ななし@21b366
らぽさんこんにちは~かんろです
99:23
laPo
あ!かんろさんだ!(コメント欄を見ろ)(はい……)
99:39
ななし@21b366
らぽさんの囚配素敵ですね、楽しみにしております
100:31
laPo
あびゃ~~うれじい……たぶんこんなもんでおわりなので手直ししてよるに載せたいです!
101:10
laPo
そういえばさっきからずっとYOUTUBE垂れ流して広告チャレンジしてるのですが出会えず仕舞いで病みわよになっております みれたひとすごい……
107:24
ななし@21b366
運ゲーみたいなところありますよね…私もまだ見れてないです…
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肩が痛い
初公開日: 2020年08月12日
最終更新日: 2020年08月13日
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ギムナジウムのやつ 囚配のターン