……確かに、今日は体調が優れないなー、とは思っていた。
…でも、まさか…立てないほどになるとは。
─今日の気温は35℃、朝からあまり体調は良くない、目眩、吐き気………あぁもうこれ、熱中症だ。
あと少し、家まであと少しなのに…歩けそうにない。
そんな時はお兄様を呼ぶ決まりではいたけど、連絡する気力などない。
…急にフラっと身体が斜めに傾く。
……あ、ダメだ。立ってられない…
倒れる…っ!!!
『────………かい?!』
…誰かが押えてくれてる…誰だろう。
そんなことを考える気力なんてなくて、そのまま私は意識を失った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
…ゆっくりと目を開けると、真っ白な天井が視界に映る。
ここ、どこだ?辺りを見回そうにも、頭が痛んでベッドへ逆戻りした。
そして、カーテンを開けられる音が聞こえる。
「…目は覚めたかい?」
「…え?」
驚いた。というか驚かない人の方がいないと思う。
…だって、今私の目の前にいる人は…有名な医師の神宮寺寂雷先生だ。ということは、ここはシンジュク…?
「…あの、すみません…私…」
「ああ、ごめんね。道で君が倒れかけていたのを見かけたから、勝手ながらここに運ばせてもらったよ。」
「…でも、私が倒れかけたの、シブヤじゃ…?」
「用事があってね。その帰りに、君を見つけたんだ。熱中症みたいだったけど…大丈夫かい?」
「…朝から体調があまり良くなくて。」
「…そういう時は、無理して外に出てはいけないよ。まだ具合が悪いなら、ここで休んでいく?」
「いえ、迎えに来てもらいます。」
そう言ってスマホを取り出すが…ここで私は気付いた。
…あれ、私が迎えに来てもらおうと思ってる人はお兄様だし…お兄様がここへ来るとなると…
そう、ここはシンジュク。そして私の隣にいる神宮寺先生。私は夢野幻太郎先生の妹…そしてお兄様は、妹がいることを明かしていない…
今迎えにこられたら、かなりやばいんじゃないか?!?!
頭を抱えていると、
「どうしたんだい?」
「…いえ、なんでもないです。電話かけますね。」
違う違う今かけたらおしまいじゃん私落ち着いて?!
恐る恐るスマホの画面を付けてみると…通知欄に『夢野幻太郎』という名前が埋め尽くされていた。
…そういえば、電話帳にはお兄様のこと本名登録してたんだった…
見ようと思わなくとも神宮寺先生と私の今の距離ならスマホの画面がどうしても見えてしまうわけで…
「…一ついいかな。君は、その人とは…お知り合いで?」
…あぁ、これは終わった…もうここまでバレてしまったなら、白状するしかないだろう。
「…妹です…」
隠すことを諦めて白状すると、一瞬混乱したような顔を見せた神宮寺先生だったが…すぐに笑顔になった。
「…なるほど。だから君は、お兄さんとそっくりなんだね。」
…やっぱり私とお兄様は似てるのか…
「…今お兄様めちゃくちゃ心配してるので…ちょっと電話かけますね。」
病室をあとにして、お兄様へ電話をかける…うわっ、出るの早っ?!
「…あ、おにいさm『🌸っ?!今どこへ?!?!』
案の定焦ったお兄様の声が聞こえる。そりゃあそうか…
「…お兄様、今から全部話すから落ち着いて聞いて。」
『いやいや落ち着けませんって!!!』
「本当にちょっとでいいから落ち着いて!!」
私の声に驚いたように急に黙ったお兄様を見計らって、先程のことを話した。
『……は?』
「…いやあの、ほんとごめんなさい…電話する気力もなくて…」
『…いや、でもまさか🌸が…シンジュクに…?』
「…あっはい。そうです…だから迎えに来て貰おうかなー、と…」
『今すぐ行きます悪い人に声掛けられても無視するんですよ?!?!?!』
「私は小学生か?!?!」
電話が切れると、神宮寺先生に声をかけられる。
「あ、すみません…病院の外で大声出しちゃって…」
「いやいや、構わないよ。大声を出せるほど元気が出たようで良かった。それで、お兄さんは迎えに来てくれるって?」
「はい、即答でした…ここで待っててもいいですか?」
「それなら私も付き添わせてくれないかい?大声を出せる元気があったとしても、まだ心配だから。」
「いいんですか?」
「うん。君が良ければ…だけど。」
…この人、優しすぎないか…?
病院前のベンチに座って、5分程経った頃…
「センセー!……って、あ、あれ、お、おんな…?ヒイィィッ!!」
「…ひ、一二三…?どこ行くんだ?!」
私の姿を捉えた瞬間、逃げていった金髪の男性と…その男性を追いかける赤髪の男性…
ま、まさか…
「…せ、先生…あの二人って…」
「…ああ、一二三くんと独歩くんだよ。」
…ですよね…!
しばらくして、伊弉冉さんと観音坂さん(そう呼んでいいのかな?)が帰ってくる。
「…初めまして、子猫ちゃん。さっきは失礼したね。」
「…はあ…捕まえるの大変だったんだぞ…あぁ!初めまして…!僕は…こういうものです。」
観音坂さんの上着を着た伊弉冉さんは、地面に膝をつけて、私の手を取った。
そして、観音坂さんは名刺を渡してくる。
「…あ、ありがとうございます…?」
「…それで、先生。こちらの女の子は?」
「迎え待ちです。さっきまで熱中症で寝込んでいてね。」
「…熱中症…大丈夫かい、子猫ちゃん?」
「…あ、はい。もう大丈夫です…」
…ホストモードの伊弉冉さんってこんな感じなんだ…
「良かった…子猫ちゃんに何かあったら、僕は心配なんだ。」
そして、私の指先にキスを落とす伊弉冉さん。
…え、キス…?!?!?!
「…一二三!!混乱してるだろ!」
「…おや、ごめんね。」
伊弉冉さんがそう言った後、看護師さんが神宮寺先生を呼ぶ声がした。
「…ごめんね。私はもう行かないと。一二三くん、独歩くん。迎えが来るまでその子と一緒にいてくれないかい?」
「…わかりました。子猫ちゃんを1人にはさせておけないからね。」
「…あ…会社に忘れ物した…まさか一日に2回会社に行くことになるなんて…一二三、ちょっと取ってくる。」
「…独歩君、気を付けてね。」
…神宮寺先生も観音坂さんも行ってしまった…ということは、伊弉冉さんと2人きり…?!?!
「…あの…私に付き添ってもらって本当に大丈夫なんですか?」
「構わないよ。時間はまだあるし、何よりも子猫ちゃんが心配だ。」
そう言って私の隣に座ってくる伊弉冉さん。
…麻天狼の人達、優しっ…
「…あれ、君…腕から血が…」
「…え?あ、本当だ…どこでやっちゃったんだろ…」
「待って!触らない方がいいよ。絆創膏がないから…一旦はこれで失礼するね。」
ポケットから取り出した高そうなハンカチを私の腕に巻いてくれた。
「…あの、私の血付いちゃうけど大丈夫なんですか?」
「気にしなくていいよ。僕がやりたくてやっている事だからね。」
私に笑みを浮かべる伊弉冉さん。
「…じゃあ、せめて洗ってから返してもいいですか?」
そしたら、一瞬驚いたような表示をした伊弉冉さんだけど…すぐに笑顔になった。
「…君は優しいんだね。じゃあお願いしてもいいかな?」
「もちろんです!」
そうして鞄からスマホを取り出した。
「あの、いつ返せるかわからないので…連絡して会えた時に返してもいいですか?」
すぐに笑顔を向けて、同じようにポケットからスマホを取りだし『もちろんだよ。』と言って連絡先を交換した。
「…はぁっ、はぁ…🌸っ…ようやく迎えに来れました……は?」
それから1秒も満たないうちに、後ろから声が聞こえた。
「…あ、え…お兄様…?」
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📚先生の妹🌸の🐺面会話し(2)
初公開日: 2020年08月01日
最終更新日: 2020年08月01日
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