ひどく清い神気に呼び起こされる感覚。
雪化粧した早朝のようにシンとして冷たく背筋が自然と正されるような感覚の中に、正反対なねっとりとした眼差し。
見定められているようなその眼差しを振り払う術を知らない俺はただ完全に呼び起こされるのを待つしかない。
蛇を連想させる鋭い視線に、あぁ、これが音に聞く蛇に睨まれた蛙かとぼんやりと思う他なかった。
唐突に浮上する意識に、ようやくこの視線から逃れられるのだと思うとほっとする反面、今から迎え入れられる本丸の主は、神域に干渉出来るほどの力があると言う事実に背中に冷たいものが走る。
願わくば、ありのままの俺で居られる、堅苦しくない本丸であることを望む。
最初に感じたのは轟々と燃える炎の音。
鍛刀場だろう。
徐々に開けていく視界の先には昔馴染みの光忠の姿と女人の姿。
おそらく、この本丸の主だろう。
「よっ。鶴丸国永だ。俺みたいなのが突然来て驚いたか?」
口上を述べると、光忠は嬉しそうに俺や主にほほ笑みかける。
主は俺に向かい頭を下げると緩くほほ笑みかける。
「はじめまして、ようこそ当本丸へ。
ここの主をしているものです。
これからどうぞよろしくお願いします」
「あぁ、よろしく頼むよ」
簡単に挨拶を済ませると、挨拶を終えるのを待っていた光忠は嬉しそうに話しかけてきた。
「鶴さん!久しぶりだね。待っていたんだよ」
「光坊こそ、久しぶりだな」
「伽羅ちゃんももう来てるよ。
 鶴さんが来るのを楽しみにしてたんだ」
「鶴丸様は光忠さんと大倶利伽羅さんのお知り合いなんですね」
「伊達政宗公の元で一緒だったんだよ。
懐かしいなぁ…。
鶴さん、今日は張り切ってご飯を準備するからね!
楽しみにしててよ!」
「…飯の支度を光坊がやっているのか?
こりゃ驚きだな!」
「そうなんだ。
伊達政宗公がやっているのを近くで見ていたからかな?
興味があって今では楽しみの一つなんだよ」
「…積もる話もあるとは思いますが、まず本丸を案内させていただけますね」
「あぁ、すまない。光坊、また後でな」
「うん、鶴さん行ってらっしゃい」
光坊と別れ、主に本丸を案内される。
基本的な決まりなどを簡単に説明しながらの案内となり、俺は主の話に耳を傾ける。
本丸の空気は凛と清められており、呼び起こされる前に感じた神気が僅かに感じる。
だが主からはその神気が溢れ出ている感じはなく、首を傾げる。
(主も不思議な気の流れをしているが、人の子で間違いなさそうだ…)
本丸を案内する主をチラリと横目で見る。
その小さな体から普通と違う性質を感じ取るが、神気とはまた異なるものだった。
どちらかというと、常世のモノを惹き付けるような性質に近い何か。
人ならざるモノに好かれそうな匂い。
主はもしかすると現世で苦労したのやもしれない。
「…鶴間様、どうされましたか?」
「あ、いや。その、なんだ。
…その鶴丸様っていうのをやめてくれないか?
今は君が俺の主なんだ。
家臣に様付けはおかしいだろう」
「…では、鶴丸さんとお呼びしても?」
「あぁ、もちろん。喋り方も砕けた感じで構わない
「分かりました」
あまりにもじっくり見ていたのがバレたのか、主の問いかけに驚いた。
俺のお願いに主は快く受け入れてくれたが、その返事はまだ少し硬さが残る。
おそらくちゃんと俺たちを神様として接してくれようとしているのだろう。
主の案内で粗方の本丸内の間取りを確認し、最後に俺に宛てがわれた私室に向かった。
まだ必要最低限の物しか置かれていないそこは自由に使ってもらっても構わない、但し他の刀剣男士達に迷惑が掛からないことを前提に、と言われ、了承する。
「食事の準備が出来るまでくつろいでいてください。
大倶利伽羅さんに後はお願いしてますので、ご自身の体の事や分からないことを聞いてください」
「あぁ、ありがとう」
「あと夕食の時になるとは思いますが、紹介したい方もいますので、そのつもりでいてください」
「?あぁ、分かった」
紹介したい人とは、他の刀剣男士のことだろうか。
それともこの本丸を包む神気に関係する何かだろうか。
俺は少し風変わりの本丸にはやる気持ちを抑えつつ、まだ何もない部屋にゆっくりと腰を下ろした。
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【書き直し】蛇神様の本丸へようこそ!
初公開日: 2020年07月06日
最終更新日: 2020年07月06日
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コメント
幽ロマ×とうらぶ
蛇神様の本丸へようこそ! を書く予定
幽幻ロマンチカ、刀剣乱舞のクロスオーバー夢小説なので、なんでも大丈夫な方のみ
まや
蛇神様の本丸へようこそ! を書く予定
幽幻ロマンチカ、刀剣乱舞のクロスオーバー夢小説なので、なんでも大丈夫な方のみ
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まや
えふごとシノアリクロスオーバー「人魚姫と作者」
タイトル通りのクロスオーバー。この二人で書いてみたかったので……話の展開とか何も考えていないのでとん…
リュックでか子