「いいんです、私は閣下のためにもコーヒーに詳しくなります」
それはどうだろう。
「別に何飲もうと勝手だけど、嗜好まであのオッサンに合わせることないって」
「でも、役割分担だってありますし」
「分担?」
何の分担だ。
「じゃあボクがジュース担当なの?」
言われて気がつく。
「それ、オレが紅茶担当だから?」
あのなぁ、と息を吐く。
「仕事以外のオッサンの世話を見てやる義理なんてないだろ。喫茶店でもコーヒーハウスでもバーでもいいが、人間社会を活用しろ」
「もちろん、プロの方に敵うなんて思ってませんけど」
「じゃあプロに任せとけばいいじゃん」
「閣下はコーヒー党ですよね」
「うん」
「でもレクターさんが淹れた紅茶は飲みますよね」
「うん?」
「それってレクターさんが淹れた紅茶は美味しいからですよね」
「そうかなァ」
「美味しいです」
「そりゃどうも……」
突発的に褒められるのは何となく居心地が悪い。
「そういう特技、うらやましいです」
(分担、ねェ)
それは分割して担当すると言うよりも、未踏の領域を見つけたいという願望に思える。これならこの人、と頼られたい。
「仕事じゃダメなのか? TMPはクレアだけだし」
と言うより、情報局に二人いるのが偏っている。
「仕事も至らないところばかりですし」
「反省文とか書かされた?」
「それはないです」
「賞とかもらっただろ」
「昨年の新人奨励賞なら……耳が早いですね」
「オッサンが自慢してた」
「え……」
どういう表情をしたらいいのかわからない、という表情をしていたが、そこにあるのは明らかに喜の色だったから、素直に表現すればいいと思う。