ジェイドさん夢小説(長編)の途中から書き始めるので読んでもちんぷんかんぷんかもしれません……
※not監督生です
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「月と同じ色。綺麗だよねホント」
「おやおや。これはもしや口説かれているんでしょうか」
「いや……君みたいな恋人はちょっとな……うん…」
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「よし行くか」
「はい」
夜の点呼を終えて、大人しくベッドに入った数分後。私とリーチくんは、ガバリと起き上がり短く言葉を交わす。
「いいか?リーチくん。俺が夜な夜な抜け出してるのは内緒だぞ」
「ええ勿論。お互い様ですしね」
「それじゃあ君も抜け出してるって事か。自分から悪いことをしていると言い出すなんて、リーチくんにしては珍しい。罪の共有でもしたいの?」
「うふふ、そう捉えてもらって構いません。どちらにせよ今こうして抜け出している時点で共犯なのですから」
「それもそうか。で、そろそろ俺に抱えられてくんない?」
「え、もうですか?」
虚につかれたような彼の声は、驚きに彩られている。私は「もう外に出たし、楽しい事は早い方がいいだろ?」と笑う。風邪っぴきから復活したばかりなので無敵な気分だった。
「よーし、行くか。……?リーチくん?どうしたの?」
「落としませんよね?」
少しばかり、迷ったように告げてくる彼に私はぽかんと口を開け放つ。いつもの冗談かと思ったが、どうやら本気で言っているらしい。
「俺がルームメイトの君を空高くから落とすって?」
「気を悪くさせてしまったなら申し訳ありません。自分で言いだしたこととはいえ、少々不安が残ります」
リーチくんが、私に対して本当に申し訳ないと思っているかどうかは審議が入るが、月明かりだけでわかる程度には表情も硬く、喋るスピードも速かった。飛行術が苦手なことは知っている。どうしてこんなに空に恐れを抱いているのに、私に抱えて飛べと要求したのだろう。つくづくよくわからない男だ。
空を怖がる様は、翼が生えたての私のようだった。――いや、私は特に怖がったことはないな。一つリーチくんに勝る点を見つけてしまった。
口端をグッと上げる。こうなったら、心ゆくまで、空を楽しんでもらおうじゃないか。私は、リーチくんがいつもしているように片方の手の平を自分の胸に持っていく、そして恭しくもう片方の手を、目の前の彼に差し出す。
「お手をどうぞ?人魚さん」
これから行くは空の世界。これまでずっと海で生きてきた君に、素敵なものを沢山見せてやるという気持ちを込めて。
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「学園が随分小さくなりましたね」
「授業でもここまで高くまで来た事ないだろ?どうだ?あ、あっちに仲良くしてる鳥がいるんだ。君にも紹介するよ」
「ええ、楽しいですよ。授業でも、というより生まれて初めてです。ここまで高い場所にいるのは」
「怖い?」
「いいえ。頼りがいのある人がいるので平気ですよ」
「はー。何が目的だ……?」
「山の方も案内してほしいのですが」
「はいはい。知ってました」
「でも夜だから空から見るだけな。散策は晴れてる昼間の方がいい」と、言ってから方向転換する。バサッと翼が音を立てた。そのままスイスイ進んでいると、視線を感じた。まぁこの状況じゃ一人しかいないが、確かめる意味も込めて目線を下へやる。案の定リーチくんは、私をじろじろと見ていた。しばらく特に障害物もないので、視線を合わせたまま飛ぶ。降参したのはリーチくんだった。
「そんなに見つめられると困ってしまいますね」
「はは、そりゃこっちのセリフだな」
第一、爪の先もそう思っていないのはこれまでの短い付き合いで理解している。まともに取り合っていると疲れるだけだ。緩く流すと「おや……うふふ」と上機嫌な笑い声が聞こえた。何だって言うんだ……。
「ここ、初心者にもオススメの山。案外サクッと登れるよ。君の今の脚力で、余裕で日帰りでいけるくらいだな」
「それは挑戦しやすいですね。次の休みにでも行きましょうかねぇ」
「そういや部屋に登山用具あったけどもう買ったの…?」
「貴方用に果物を買ったときについでに購入しておきました。部屋に戻ったら、足りないものがないか見てほしいのですが」
「いいぜ。あ、行く時は、言ってくれたら麓まで送るぞ?帰りぶっ倒れてもシャワー室に突っ込んでやれるしな」
「倒れる前提ですか」
山の頂上の上空を飛びながら、のんびりと会話する。リーチくんは「本で読んだのですが……」と色々知識を披露してくれる。それを、ほーんだとかへぇーだとかゆるゆると打ち返す。リーチくんはこれで満足するどころか、「貴方相手だといつもより話してしまう」と目尻を緩ませる。これには嬉しいというよりも、こいつ周りに話聞いてくれる奴いないのか……?という苦い気持ちになった。
「そろそろ帰るか」
「そうですか?」
「楽しい時間もそろそろ終了!俺……帰ってあったまりたい。寒い」
「温まる?あぁ成程。僕は涼しいくらいですが。もっと高くなってもいいくらいです」
「これ以上上昇したら翼凍るわ。山、高いほど涼しいし、そういう意味でも君にピッタリかもな」
ふむ、と頷きながら降下していく。腕の中にいるリーチくんを抱えているのも辛くなってきたし、降りたら労わってほしいところだ。口が上手い上になんだかんだノリがいいから、頼んだらやってくれるかもなと唇だけで笑った。
「君、アズールくんとフロイドくんと何かコソコソやってるだろ」
「……コソコソ、とは一体どれを指すのでしょう?」