「来る途中でも少し読んだが、お前…木の葉陣営の隊長と随分イイ仲みたいじゃねぇか。俺は記憶を操作出来る。死ぬより辛い目に合わせてやるぜ」
「何を…!」
「選ばせてやるよ。お前に俺の力を分けてやる。その力で、木の葉の忍の記憶を手当たり次第抜き取って廃人にさせる。勿論、俺が記憶を操作しといてやるからその自覚はない。頑張れよ?もう一つは、お前自身の一番大切な記憶をもらう。だけど…俺は優しいから、徐々に思い出せるようにしてやる。全てを思い出したら、また忘れる。お前の大事な記憶……これか。…クク、隊長だったとはな。カカシって奴との思い出は、記憶に残らずリセットされる。どちらがいい?」
死相の出ている顔でニタリと笑うその姿は、さながら死神のようだった。
「関係ない大多数を取るか、恋人を取るか。俺はどっちも楽しいからな…心配してくれた礼だ。選べ。選んで、苦しめ!」
「………」
俺にとってカカシさんは、唯一無二だ。両親を失い、喪失感で一杯だった俺に現れた、失いたくない人だ。
その人との記憶を取るか、木の葉の忍を取るか。
勿論、カカシさんを選びたい。だけど、俺が手当たり次第廃人にして回る姿を想像したら、ゾッとした。
ならば選ぶべくは後者。
分かってはいるのに、カカシさんと過ごした日々を思うと、口に出す事が出来ない。
「選べないなら俺が選んでやろう」
「待て…!!」
誰か応援が来てくれないだろうか。助け出してはくれないだろうか。
どちらを取っても、不利益にしかならない。選択をしなければ勝手に選ばれる。
でも…。
「お前が死んでも、術は残るんだな」
「ああ。解術は不可能だ」
「なら…」
ごめんなさい。
大事なんです。それは本当なんです。
あの日朝食を一緒に食べた時間を、忘れたくなんかない。暗部の出で立ちで現れたあなたの記憶がなくなっても、俺にとってそれが大切なものであったと、きっと伝わっていると信じてます。
あなたを選ばなかった理由ではないんです。
そんな言い訳くらい、言いたかった。
「…カカシさんの記憶を、選ぶ」
男は、脳に直接チャクラを流す。
気持ち悪い海流にのせられて、流されていく思い出。
大切にしていた時間。
一つ、また一つと消えていく。
何が大切だったのか、次第に分からなくなってくる。
男は力尽き、崩れ落ちた。
呆然としながら、どうにも出来ないまま、辿れない記憶をなぞる。
両手ですくった水がこぼれ落ちるようにあっという間に。
「カカシさん…」
里の誉。
上忍。
容姿や名前は覚えている。
けれど、恋の記憶はなくなった。
キリがいいからここまで。
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カカイル
初公開日: 2020年05月13日
最終更新日: 2020年05月13日
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やり方よく分かんないからお試し