アルは、部屋の扉を開け、その人物を見つけるなり、すぐに声をかけた。
「僕に手伝ってほしいことって、なに?」
この日、アルは錬金術の教室(部屋の名前なんだっけ忘れた)に呼び出されていたのだ。アルを呼び出したのは、ビルである。
「アリステアくん!よく来てくれましたね!」
ビルは、顔を綻ばせてそう言った。
「ねえ〜。質問に答えてよ。僕に手伝ってほしいことって?」
アルが、少し頬を膨らませる。
「ああ!そういえば、なにも説明していませんでした。今日、ワタシとアリステアくんは…。」
「惚れ薬を!作ります!」
その言葉を聞いたアルは、首を傾げて、不思議そうな顔ををした。
「ん?今の、僕の聞き間違い?"惚れ薬"、って聞こえたんだけど…。」
「いいえ。聞き間違えではありません。"惚れ薬"で合ってます。」
ビルは、首を振りながらそう答えた。
「それ作って、どうするの?」
「ワタシたちで飲みます。」
「なんでなの?」
「興味があったからです!」
ハツラツとした笑顔で、ビルはそう言う。アルは、そんなビルを見て、ため息をついた。
「…うん。わかったよ。とっとと作っちゃおう。」
「出来上がりが、すごく楽しみです。」
その後、2人はかなり時間をかけながらも、なんとか惚れ薬を完成させた。
「あとは…。犬の歯を、大釜に三欠片入れて…。」
「10分置いておけば、出来上がりですね。」
10分後、ビルは完成した液体を、2つの紙コップにそれぞれ注いだ。
「さあ!飲みましょう!」
ビルがそう言った、そのときだった。
「…ないと思う。」
「え?」
「だから!僕、もうビルのこと好きだから!効果なんて、出ないと思う!」
アルは、赤面しながらそう叫んだ。
「おや!アリステアくんが、そんな大口を開けて叫ぶなんて!驚きましたよ!なんと愛らしい!」
ビルは、目を輝かせながら、アルの両手を取る。
「…? 愛らし、い? な…んで? 別に、君は僕のこと、好きじゃないでしょ? それとも…、僕のこと、からかってるの?」
アルは赤い顔のまま、ビルのことを睨みつける。強く睨みつけてはいるが、その声はか細い。