【ブローティガンの短編のように軽やかな、ルール説明のテキストもまた詩であるように】
【いまベランダにドバトが巣をつくろうとしているところで、ドバトと私のどちらが偉いか鳥野郎に"理解"させるために度々席を外します】
 Vという男について人々は口々に麗句を唱えた。
 彼の金髪は黄金を糸車で紡いだように壇上で輝き、長い睫毛が顔に落とす影は木漏れ日のよう。傷ひとつ無い白磁のような素顔にはいつでも微笑が讃えられ、彼が歩けば花の芳香さえあたりに漂うと伝えられた。彼は虫食いひとつ無い白バラのような美男子で、舞台上の役者でありながら、舞台に立つ彼自身のスポットライトのように燦然たるたたずまい、彼のつむぐ台詞や歌う言葉と姿にどれほどの観客が内なる光を見出したことだろう。
 Vは愛され、Vは哀れな男だった。三十路を目前にしてバラの花弁の散る気配はなかったが、誰にも信じがたい事故が重なり、舞台裏のシャンデリアが彼の頭に落下した。シャンデリアの白熱灯が倒れた衣装棚に引火して、劇場でいちばん美しい男は切り傷と火傷で顔を失った。彼は一瓶の眠り薬を赤ワインで飲み干して、永久に劇場の舞台を去った。
 そのように伝えられている。
 一週間後劇場の前で赤ん坊が見付かった。毛も生えていなければまだ目も開いていない男の子が未明のエントランスで叫びを上げているのを、仕立て屋の若い女が引き取った。ほんのすこしの月日が経つと、名前のない赤ん坊は細く豊かな金髪に淡い青色の瞳を持った
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初公開日: 2020年05月05日
最終更新日: 2020年05月05日
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作業がはかどらないので監視される用
20250221_vd
198X年2月14日 / 小説『ファング』スピンオフ短編 3000字以内 完成版は https://…
Yamakawa
20230912_fishing
小説のらくがき 4000字目標だったけど7000字いきました。執筆&推敲
Yamakawa