「そっちもって」
「おう」
テーブルの端と端を持ちバルコニーの近くへと移動させると、出久は次はこれをと焦凍に椅子を渡す。
春の陽気が差し込む中、窓を開けると気持ちのいい風が部屋の中に流れ込んできた。
二人で休みが重なることなど滅多になくて、一緒に買い物や散歩に行きたいと思っていたが、たまには家でゆっくりしようと昨日の内に食材を買い込んできたのだ。
いつもはキッチンに近いところにあるテーブルを外の景色が見える場所へ移動させ、食事やお茶を飲みながらゆっくりしようと思ったのだ。
食事は二人でキッチンに立ち、それぞれの好きなものを作り、よく冷えたアルコールに合う肴を用意していく。
外からは鳥の囀や配達業者やデリバリーのバイクの音が響いてくる。
昼時だからか、子供の声はそんなに聞こえてはこない。その静かな分、太陽や風の自然の音が聞こえてくるようだった。
「気持ちいいねぇ」
焦凍リクエストの【あったかくない蕎麦】を運び、焦凍の見ている先を同じように見て、出久はため息をつくように呟いた。
「食事終わったら、ちょっとベランダで日向ぼっこする?」