お題、文通する柊英
冒頭文『拝啓 (以下ご自由にどうぞ)』縛りを制限。
(追加要素『インク、万年筆、小さな贈り物』)
書けるところまでやってみます〜
横書き苦手なので、もたついたら励ましてやってください!えいえいおー(´꒳`)ノ
・・・・・・・・・
拝啓 堀宮英知様
そこまで書いて止まってしまった文字、手に持った万年筆が指の上でくるくると踊る事数分。
この後に何を綴れば良いのか、仕事の手紙ならば簡単な季節の挨拶と、用件を伝えれば良いのだが…。
「困ったな」
柄にもなく呟いて嘆息する、ネタが無いわけではない、伝えたい事は沢山ある、だが文章に美しく纏めようとすると案外難しいものだ。
彼のイメージで揃えた、若草色の爽やかな便箋と封筒、その隣には今まで貰った沢山の言葉達だった。
『今日もお疲れ様』
『冷蔵庫にみんなで作ったデザートが入っているよ』
『明日は四人で仕事だね、起こしに行くからゆっくり寝ててよ!』
有り難くもQUELL全員の仕事が忙しくなり、個々にする活動も増えて、顔を合わせられない日も増えてきた。
昔は共有ルームで健気に待っていてくれた英知も、待っていてくれない日も、俺よりも帰りが遅い日だってある。
そんな日は必ず、英知の手書きの文字が共有ルームで待っている。
小さなメモや、時には何かの切れ端に慌てて書かれたものもある。
お帰り
ただいま
みんなで暮らし始めて、初めて知った、この言葉の持つ大切な意味。それを教えてくれる、彼の存在と温かな気遣いに、応えたい。
俺も折々で小さなカードに、ありがとうや今日の報告を渡して来た。共有ルームのテーブルで行われていた、小さな文通、電子メールでは伝わらない何かが伝わる気がして続けてきた。
「ちゃんとした感謝の言葉を、伝えたいのだけれど…。難しいものだな」
今日はロケ先の都合で、俺よりも遅く帰る英知へ、何か素敵な言葉を贈れたらと思った手紙、格好をつけようと思えば思うほどに言葉は不自由に思えて、ペンが進まない。
その時、俺のスマホから通知音。
何気なくその通知を見ると、今想っている人からだった。
無機質な文字、だけどその内容が彩りを与えて、俺には彼の手書きの文字に見える。
拝啓 和泉柊羽様
今夜は少し暖かくて、やっと上着が要らなくなるのかなって、季節が変わるんだって感じですね。
これを読んでくれる頃は、きっと朝だからこんな話も少しタイミングがズレちゃっているのかな?
もしも、この通知音で起こしちゃったらごめんなさい。
今日のロケでね、素敵な家族に出会って、色々お話を聞いたら、途端にみんなに会いたくなって、帰り道の車の中でこれを書いてます。
早く柊羽に今日のお土産話をしたいな、そう思ったけど、明日も明後日もすれ違いになってしまうスケジュールだから、お手紙風にメールをしてみました。(長文で気持ち悪いって思った?ごめんね)
書き始めたのはいいけれど、いざこうやって文字にしようと思うと、上手に言葉が出てこなくて、困っています。どうしようかな…。
言葉は案外不自由ですね、俺はいつも柊羽に色んなことを伝えたくて、メモとか書くんだけど、きっと10%くらいしか伝わってないんだろうなぁ。
だからね、本音を言うと、柊羽と顔を見てゆっくり話がしたいです。なんちゃって…
今日買って来たお土産、共有ルームの冷蔵庫に入れておきます、ちゃんと食べてね!
では! 敬具
普段は短いメッセージをやり取りするメール、驚くほどの長い文章を読み終わった頃には俺の頬は緩んで、思わず微笑んでいた。
くるくると踊っていたペンを握り直して、一文字目を書く、きっと10%も伝わらない手紙を完成させて、君が帰る頃に待ち伏せよう。
残りの90%を伝えるために。
ここまででーーーーー終了しまーーーす!!!!
遅刻したーーーー!