胡散臭い大人だなあというのが最初の印象で、実は今もそれは変わっていない。
本人に伝えたところで、まぁそうだろうなと返されるのが目に見えている。
狡い大人だから、きっとこんな小娘一人を丸め込むことだって慣れっこのはずだし、
何より、魔法みたいな言葉をかけるのが人一倍上手な大人に勝てるはずもなかった。
「それで?今日もその話?」
目の前の友人へ無条件に好意を向けられていることの不安を吐露する。
といっても話す内容はいつも同じで返される言葉もいつも同じ。
最終的には呆れた顔で、「自分で聞いてみなよ」と返されるだけで
ちっとも解決には至らないのだ。
…そもそも自分で聞けていたら相談などする必要が無いのにと気づきたくは無いので
そっと余計な考えの引き出しに仕舞い込んだ。
夜の帳がおりたその街で、心もとない街灯の下にその人はいた。
艶のあるコートにサテンのシャツ、いつ見ても一目で分かる。
頭一つ分周りより大きい身長なのもあるだろうが、こんなに派手な見た目なのに
いつの間にか消えていなくなってしまいそうな儚さを時折感じる。
それもこれも計算で、全部嘘だよと言われてしまえば楽になれるのにな、と
思いながら「お待たせしました。」と小走りで駆け寄った。