今日中に祝言あげてほしい
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着物は邪魔だろうから、と言われて、一旦部屋に入って、襦袢一枚になる。寒いから羽織っているように言われたので、借りた羽織はそのまま肩にかけておくことにした。廊下に出ても、彼の姿がない。キョロキョロと見回していると、どこかで声がして、襖が開く音がする。振り返ると、髪を解いた上官が手招きした。
呼ばれた先には、少し大きな褥が一つと枕が二つ。そういうことだ、と思った途端、泣きそうになった。
「先に言っておくけれど、誓って何もしないよ。ただ、今日は少し寒いし、色々とあるから、一人で寝かせるのも不安だからね。私の安心のために、できれば一緒に寝てほしいんだ。本当に、誓って何もしない。約束するよ」
ありがとうございます、と返して、ぺこりと頭を下げる。彼の顔を見る事ができない。何もしない、というのは、その気がない、ということだろう。事が済んだら離縁されるとはいえ、何だか少し、悔しいような気がした。手を引かれるままに、褥に潜り込む。少し冷たいそれの内側で引き寄せられ、小さい頃と同じように、すっぽりと胸元に抱きしめられる。
「おやすみ、紫華ちゃん」
「——はい、おやすみなさい」
目を閉じて、心臓の音を聞く。早くて、大きくて、忙しないそれを聞いているうちに、体が温まってくる。静かに目を閉じていると、髪を撫で、背中をトントンとあやすように叩かれる。紫華がこれに弱いことを、この人は熟知している。誘われるままに、するりと意識を手放した。