「突然なんだけど、はい、これ。君に渡すようにって言われたんだ」
そーちゃんに手渡されたのはピンクの封筒だった。
「何これ」
何これ、も見た通り手紙だよなんてそーちゃんに突っ込まれる前に受け取ることにした。
「今日収録で一緒になった方から渡されたんだ。一応僕らもアイドルだからこういうのは受け取れないとは言ったんだけど」
こういった手紙を渡されることはアイドルになって、テレビに出るようになって多くなった。
たいして俺のこと知らないのに好きです、って言える気持ちがよくわかんなかったけど、今では少しだけわかるような気もする。
「断りを入れたら逢坂さんは四葉さんのなんなんですか、って言われたんだよね」
そーちゃんは俺の相方で、うーん、友達、とはちょっと違うような気がする。そんで、俺の好きな人。で、俺はそーちゃんの好きな人。でも付き合ってない。そーちゃんに告白して振られたから。
そーちゃんは難しい顔をして「君はまだ未成年だから」なんていって断ってきたのが今年の俺の誕生日の話。誕生日にひでーことすんなよ、って思ったけどそーちゃんはいつも難しいこと考えてるから、これも多分難しく考えた結果なんだと思う。っていうのは、「君が未成年じゃなくなったら今度は告白させてください」って言われたからだ。
その日から俺はバカみたいにカレンダーの日付と毎日にらめっこしてる。
「そーちゃんは俺の相方じゃん」
「そう、僕はまだ君の恋人じゃないから確かにその手紙を拒否する理由はないんだよね」
まだ、の言葉にそーちゃんは俺と付き合う気なんだなって思ったらちょっとだけ嬉しくなった。
「まだ恋人じゃないんだ」
「そう、まだね」
また俺はカレンダーを見た。
次の誕生日までまだまだ時間がかかる。
「なので僕はこの手紙を君に渡さないという理由もないんだ」
ちょっとだけそーちゃんは頬を膨らませて手紙を押し付けてきた。
「まだ恋人にならないって言ったの、少しだけ後悔しそう」
「え、じゃあ付き合う?」
「それはだめだよ。そういうのはきちんとした順序が大切なんだ」
そういうものかと思ってそーちゃんが押し付けてきた手紙を受け取った。
「早く君の誕生日になってほしいな」
そーちゃんは手紙を睨みつけながらそう呟いた。
おわります