「…ぅ、あ、ぁ、はッ、」
不意にくっ、と、首に回る指が強張った、ような気がした。
苦痛は時に快楽をも生む。軽い酸欠状態の脳はふわふわと靄がかり、酩酊にも似た浮遊感をもたらした。脂肪の薄い指の食い込む首筋が、ろくに回らない頭の周りが、どくりどくりと脈打った。
(このまま、ずっとこうしていたら、結構、やばいのかも、)
不定期で少女に振るわれ行われた「行為」は「死」そのものと直結するものでこそなかったが、それとて度を越せば死に繋がるものであったし、それらの「行為」が急速に、緩やかに、着実に、少女の精神を蝕み犯し、死へと導いていったのは疑いようのないことだった。それでも、うら若き少女の側に、脳死、心肺活動の停止といった類の死が身近にあった訳ではなかった。ある種機械的で単調な「行為」で少女に向けられていたのは殺意ではなく。もっと言えば、その感情の矛先に向いていたのが少女自身ですらなかったのかも知れないと、少女は感じていたからだった。
彼は少女の薄青い瞳を憎んでいた。少女の母によく似た顔を恨んでいた。少女の体を巡る赤い血、その半分を、妬んでいた。
薄っすらとそんなことを感じ取りながら、その予想を、根拠の弱い確信を胸に抱え、それを慰みに、よすがの一つにして、彼女は不規則な「行為」をやり過ごしていた。
もがく。もがく。あしが、
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初公開日: 2020年04月17日
最終更新日: 2020年04月17日
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