1.洗濯物、裏返して出してくれと言ったろう。
いつも怒らせてしまう。君と一緒に暮らしているんだと感じたくて、つい。
(現代パラレル)
2.大切な誰かを忘れている気がする。顔も名前も覚えていない誰かを。
なあ、あんたにさ、初めて会ったはずなのに。どうしてだろうな、こんなにも愛おしい。
(鷹梟)
3.駅まで迎えに行く、左手は晒して歩けよ。
(現代パラレル)
4.君と揃いのエンゲージリングを、虫除けみたいに言うのはやめてくれないか。
……まあ結局、自慢して歩きたいと手袋を脱ぐ私も私なのだけれど。
(現代パラレル)
5.今にも消えていなくなってしまいそうな君に首輪を送った。
君は困ったように笑って、俺はどこにも行かないのになんて。
(猟?)
6.君が一歩踏み出す、私が一歩飛び越える。
二度と跨ぐことは無い敷居を振り返り眺めて、追い掛けるように傷だらけの手を握った。
(荘園、最後?)
7.朝起きて一番に、あんたの寝顔を覗くのはこれで何度目だろうか。涎を拭って、額にキスをする。
おはようイライ。早く起きて、可愛いわがままをたくさん聞かせて。
(転生パラレル)
8.おはよう、ナワーブ。まだ眠いよ。もう少し寝かせて。子守唄をうたって。
起きたら、カリカリのベーコンに半熟卵の目玉焼き、少しスパイスの効いたホットミルクティーを用意して。好きなところに出掛けたら、いつもより長い夜が欲しい。
(転生パラレル)
9.俺と共にいてくれると言うのなら、今すぐこの手を取ってくれよ。
舌に乗せたら、俺の好きなあんたを壊してしまいそうな気がして。伸ばしかけた手は空をかいた。
(荘園)
10.抱き締めてしまえば戻れなくなると分かっているのに。求めてはいけないことも、分かっているのに。
今だけでいいんだ。代わりで構わない。あんたのこと、愛してもいいかな。
(荘園)
11.赤黒い点が示す道の先にいる真黒に被われた君は、いつも私に背を向けている。
そのフードを脱いでこちらを振り返ってほしいと鳥籠から願う星読みは、傷だらけになりながらも私を守ってくれる君が、ただの監視役でしかないと気付いているはずなのにね。
(猟←解?)
12.不気味な足音がする。ひた、ひた、徐々に近付いてくる水に濡れた足音。それは月相の真後ろでピタリと止む。黒い影が、彼を覆わんと両手を広げた。
……はら、へった。びくりと肩を揺らし、振り返った月相は眉をつり上げて、ザラザラとした頬を抓った。
(鮫月)
13.月相は知らない。
じゅるりと唾液が吸われる。肌を突き刺す感覚を想像して、ぎらりと光る歯。
月相は知らない。真後ろに立つ、魚の飢えを。
(鮫月)
14.毎夜聞こえる澄んだ歌声。鮫が水面から顔を出すと、広がっていく波紋の上でくるくると踊る眩い月。
ああ、腹が減った。はらがへった。
(鮫月)
15.悲痛な声が波に消える。痛みに歪む表情も、零れた涙も、流れる蘇芳でさえ広大な海に攫われる。うまい、美味い。鮫が肉を暴く。
それは良かった。引き攣る頬を持ち上げて、月が笑んだ。
(鮫月)
16.お前が望むものを言え。何だってやろう。
この檻から出たい、それ以外なら、何だって。
(鷹梟前提ファラ梟)
17.それは非常に残念だな。私の願いはただ一つ、ここから出て自由になる事。他には何も望まない。
(それが叶うなら白鷹、真っ先に君に会いに行きたい。)
(鷹梟前提ファラ梟)
18.愚か者めが。俺を選べば、大層幸せにしてやったというのに。
せめて俺の手で息の根を止めてやろう。最後の愛だ、ありがたく受け取れ。
(鷹梟前提ファラ梟)
19.愚か者はどちらだろうね。貴方は私を殺すことなどできないよ。この羽根一枚だって、傷つけられやしないのだから。甘さは身を滅ぼす。ようく覚えておく事だ。
さあ、今宵の虚しい寵愛の時間はもう始まっている。好きなだけ汚せばいい。独りよがりの愚かな王よ。
(鷹梟前提ファラ梟)
20.桃色の花が枝を離れはらりと舞う。器にした手のひらに上手に落として、見て、なんてはしゃぐあんたを今は堂々と掠っていいのだと、少しずつ実感している。
ツンとした痛みをごまかすように鼻を擦った。
(転生パラレル)
21.虎は人間に憧れる。好きな服を着て、多様な言語を話し、自由に逞しく生きる彼らに。
猫は言う、人間なんてろくなもんじゃあないと。そんなちっぽけな嫌悪で、虎の好奇心を止められはしない。かみさま、かみさま、どうか虎を人間に。
(猫虎)
22.ばかだねえ、可哀想な虎。可哀想で、哀れで、可愛い虎よ。
その願いが叶うことはないだろう。チェシャ猫は空中でくるりと回る。
何故なら、この森を司る神はここにいるのだから。
(猫虎)
23.チェシャくん、チェシャくん。どうしてかみさまは願いを聞いてはくれないのだろう。人間になりたい事の何がいけないの?
教えてあげよう、間抜けな虎。神はお前を人間にしたくないのではない、お前をここから出したくないのさ。
(猫虎)
24.かみさまは横柄だ。勝手で横暴だ。虎が言う。
それが人間というものだ。学べて良かったろう。猫が返す。
だってねチェシャくん。私は確かに人間になりたいと言ったけれど、君のいる森を離れたいとは言っていないよ。私はただ、人間だった頃の君を知りたかっただけなのに。
(猫虎)
25.ああ、そう。……ほら、やはり。人間とは勝手で横柄な生き物だ。手元に置いておきたいばかりに、お前を縛り付けてしまった。
ばかだねえ、可哀想なチェシャ猫。可哀想で、哀れで、可愛い私のかみさま。
不安になんてならなくても、森から出られない君を忘れたりしないのに。
(猫虎)
26.ああ、ああ、それでも願いを聞いてはあげられない。
代わりに話をしてやろう。人間の母からうまれた子どもが、死を奪われ、神になるまでの話を。
(猫虎)
27.やあ。いい天気だね、探偵殿。近くのカフェでお茶でもどうだい?
本当は平静を装おうと、つい先まで物陰で深呼吸をしていたこと、今はまだ知らないふりをしてあげよう。咥えていたパイプを手に、ナワーブは笑う。
やあ探偵殿。まるであんたと過ごせる事への喜びを、空が表してくれているようだ。
(推独)
28.こんな噂を知ってる? 握り合った手を離さずに脱出口から無事生還した二人は、荘園を出た後も永遠の幸福を手に入れられるんだって。誰かが得意げに話していたのを思い出す。
それが本当だとして、握った先がない場合はどうなるんだろうな。なあ、返事をくれよ、イライ。
(荘園)
29.まるで、出口のない迷路をさまようみたいに、私たちはすれ違い続ける。
相手を思うってね、こんなに苦しい事だったかな。
そんなすれ違いさえも、君の幸せの為ならばと。きっと君は、怒るだろうけれど。
(?)
30.身を引く事ばかりが俺の為と思っているらしいあんたに、最高のプレゼントをやろう。
右頬が腫れたイライへ、噛みつかんばかりのキスを。目は覚めたか、ダーリン?
(?)
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