きっかけは団員達との花見。綴は悔しく思っていたのに、今年は自ら
 ここ数年、誕生日はいつも同じ人物と過ごしている。それ自体奇跡のようなことなのに、今年は更に驚くべき状況に陥っていた。
「…………」
「……」
 居心地悪く落ち着かない綴を尻目に、至は素知らぬ顔でベッドにうつ伏せの姿勢で寝転んでスマートフォンをタップしている。カツカツと画面に爪が当たる音が不規則に響く。
 どうしてこうなったのだろう。綴は腰を下ろしたベッドの隅、スプリングを揺らさないように足を組んだ。ほの暗い照明が、
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「悪いようにはしないからさ」
 言われた時は状況もあいまって浮かれていた綴だったが、至の言葉は、遅効性の毒のようにじわじわ蝕んでいた。
 猶予ってなんだ。自分はどうすれば良いのだろう。どれぐらい待てば良いのか。悪いようにしないとは言っていた。それに至の方からキスだってしてくれた。期待するなという方が無理なのだが、待ってほしいと言われた手前、これ以上押すことも出来ず綴はやり場のない想いに押しつぶされそうだった。
 自信があるわけじゃないが、さすがに今更嫌われているとは思えない。それでも、綴の想いが成就するかどうかは至の采配しだいだ。猶予の間に至の気が変わってしまえば、綴こそ頑張る猶予を与えられぬまま終わってしまう。絶対に避けたいが、かといって無理に押しても良いものか、経験の乏しい綴には判断出来ない。
 なんとなく顔を合わせると気まずいので、至が寮に居るであろう休みの日はわざとバイトを入れたり、こうして図書館に赴いたりしてやり過ごして居る。
 図書館の窓には、いつの間にか雨粒が
 昼間だというのに通りで空が暗いはずだ。
 参考資料を集めて、まとめている間に降り出したようだった。鞄の中には至からもらった折りたたみ傘が入っている。突発的な雨にも
 もらった日は夜で暗かったから気にならなかったが、エメラルドグリーンというのは存外鮮やかで、透明のビニール傘か無難な紺・黒といった傘しか使ったことのない綴は、日中使用した時あまりの派手さに驚いた。自分イコール緑という雑な扱いはいかがなものかと思うが、そういうところこそ実に至らしい。惚れた弱みというか、痘痕も靨というやつか……どちらにせよ、
 恋をすると、どうしても許容範囲が広くなる。それに、好かれたいと望んでしまうからどうしても嫌われないような態度をとってしまいがちだ。
 はたして今でも表面上は同じ劇団員という関係を装えているだろうか。
 好きだと自覚する前の自分が至とどう接していたか思い出せない。塩対応だとか冷たいだとか散々言われたけれど、自分自身では確認使用もない。綴には、あの頃と変わっていないことを祈ることしか出来ないのだ。
 閉館時間を知らせるチャイムが館内に響いた。本をたたむ音や椅子を引く音がそこかしこから聞こえてくる。綴もため息を吐いて、読みかけの本を畳む。借りるべき本はとりあえず見繕えた。資料部分をメモに控えた本は本棚へ戻し、まだ読んでいない数冊を借りるべきカウンターへ向かう。
 手続きを行っている間、綴はもう一度窓の方へ目を向けたが、雨脚は先程見た状態から変わっているようには見えなかった。普段は乾燥している図書館も、今日は温室のように湿度が高く感じられる。
「ただいま」
 水を吸ったスニーカーを脱いで、綴が三和土に上がっていると
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綴誕生日話(テスト)
初公開日: 2020年04月05日
最終更新日: 2020年04月05日
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海兵コラさんローコラ
海兵コラさんローコラwebオンリー用小説執筆中
ゆべ
※夢 展示用SS書く
夢小説を書いているため苦手な方はお戻りください。znzr 🐈
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