学生時代の👔と🥂の話です!
🥂目線。
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夏の蒸した夜風が頬を撫でる。湿度が高く、陽が落ちてからもまだまだ暑かった。今夜はこのまま熱帯夜となりそうだ。
シャツが汗で濡れ、肌に張り付く。裾を摘んでパタパタと動かすと、皮膚の表面だけがひんやりと冷える。体の内側にはぐるぐると熱気が篭っていて、いつまでも暑さは拭えない。
あまりの暑さに、並んで歩く同じ制服の少年が、隣で「はあ」と大きな溜息をついた。襟足が汗で湿っていて、赤い癖っ毛がくるりと首筋に波打ちながら張り付いている。汗が浮かぶ肌や、透けた布の先の肌色を、なんとも思わないで居られるほど俺は性に淡白ではなかった。
「独歩ちん、汗やべーな」
観音坂独歩は、小学生の頃から付き合いがある友人だ。いつもどこか胡散臭い顔をした彼に、近頃「触れたい」と思う機会が増えた。なぜ触れたいのかは自分でもよく分からない。その感情が【恋心】と形容されることを、この時はまだ自覚していなかった。
「うお…スゲ、めちゃ濡れてる」
「手あっつ…触るな、一二三」
考えるより先に体が動いてしまうのが俺だった。首筋の髪を指先で擽る。下から上に撫でつけたり、左右に無茶苦茶に散らしたり。独歩の髪の形を変えて遊ぶ。簡単に俺の手に馴染む独歩の髪が愛おしい。うなじに触れた指先が首筋を辿ると、独歩の身体に緊張が走った。
「くすぐったい。やめろ」
「え、触られるの、ヤダ?」
「……」
「はは、ヤダでは無いのかよ」
かわい〜やつ。暫く、首筋や肩周りを指先でなぞって遊ぶ。背骨のカタチを確かめながら、シャツ越しにくっつくと、本当に、あつかった。
ほとんど抱きつくような形になって、額を突き合わせる。外だというのに、男同士だというのに、俺たちは熱を持て余していて、どうしようもなかった。この夏の逃し方を俺たちは知らなくて、どうにもなれずにいた。
「どっぽお」
「なんだよ、一二三」
「……」
「……」
数秒、見つめ合う。蒸した空気、緊張する互いの身体。独歩の瞳に、ギラギラとした獣じみた衝動が見えた。喰われてしまうような気さえした。
もう俺たちは友達でいられないんじゃないか、と、思うと、次の言葉が告げられない。それは独歩も同じようで、見えない攻防が静かに繰り広げられた。均衡を崩さないための、駆け引き。俺たちは、どちらかが進みすぎた時、沈黙でバランスを保っていた。ああ、でも、もう、いいんじゃないか?
18歳になったら、噛み付くようなキスをしてほしい、と、俺は思った。