この街はどこもかしこも金属で出来ている。建造物もさることながら、壁も床もだいたいは鉄板で覆われている。人工物でないのは、汚染されて濁りきった川と、胡散臭い顔のついたあの巨木程度だろうか。
ゴムの靴底でも、それなりに音がする道を歩いているが、さすがに金属自体が動いていればどうしたって大きな音が立つ。
「……ミーハー」
「ハッ!」
「だから用がなければついてくるなって」
「だ、だって……マツリくんともっとお話ししたいモン!」
目一杯短い手足を使って賢明さをアピールしているのは、最近やけに懐いている小型ロボットだ。調査で持ち帰った資材を宿泊地から少し離れた空き地に運んだ後、帰る途中でばったり遭遇してしまった。あのロビーで会うことはあっても、こうして外で活動する姿を見るのは初めてだった。
「あ!マツリくん〜!」
「ネェネェ、何してるの?」
「どこに行ってたノ?」
とやたらテンション高めで絡んでくるものだから、さっさと別れを告げて歩き出したものの──やたら響く地面のせいで、あっという間に後をつけてきていることに気づいた。
「俺は忙しいんだ。構ってやる時間はない」
「ソンナ〜!……じゃあ、コレあげる!」
蛍光カラーの青い目を細めながらも、背負っている身の丈には少し大きすぎるリュックサックを前に回すと、ゴソゴソとなにか探って、短い腕を懸命に突き上げて俺に何か差し出してくる。流石に何かも確認しないわけにもいかず、受け取ってくるくると観察する。円柱形の、しっかりとした質感のそれは、どうみたって缶コーヒーだった。