蝉の声で、目が覚めた。
一瞬ここが二年前の自室なのかと勘違いしてしまったが、そんなわけがない。毎日鳴るようにセットしている目覚ましに気がつかないほど、深く深く眠っていたのはきっと前日……と言っていいのかわからないが、遅番の帰り道で突発した事件の処理が押しに押してしまい、帰宅できたのが深夜の二時過ぎだったから。玄関に大の字で寝転がりたいほどに疲れ切った身体を叱咤しながらシャワーを浴びた俺は、ベッドに身を沈めて瞑ったまぶたが今にも融けてくっついてしまいそうになりながら、枕元に置かれていたエアコンのリモコンに手を伸ばした。短い機械音から数秒後、口をぱかりと開けた室内機とベランダの室外機が徐々にエンジンを稼働させ始め、ブオォォ……と、喧しいくらいの送風音を鳴らしながら、蒸し風呂のような室内へと冷風を送り始めた。その音を聴きながら、俺は自分の意識が泥のようにもたりと沈み、広がって行くのを感じた。
そうして次に意識が浮上したのが、つい今しがた、目覚まし代わりは外の蝉しぐれという時分だった。
起き抜けのぼんやりとした頭でも、時間の確認にはスマートフォンという行動は自然と起きるもので。そこで俺は、初めて明け方に一通のメッセージをもらっていたことに気がついた。
「お」
点けっぱなしの冷房にやられた喉は、カサついた声を送り出す。ンンッと調子を整えながら、送信者の名前に自然と笑みが浮かぶ。トンっと軽くタップして現れた、連続する短文、単語、スタンプを順番に追ってから、ススス、と指先を滑らせて同じように返していく。最後に送ったスタンプは恋人同士が使うようなものだったが、俺とあいつの間ではこんなジョークは日常茶飯事だった。
〈寝起きのわりに元気じゃん〉
〈それなら今晩行けるっしょ〉
『いやまじ無理』
『遅番』
〈あ~〉
〈まじか~〉
〈俺からのレアなお誘い断るとかなに様だよ〉
『いやいやいや』
『なに様とかじゃねーし!』
『仕事だよ!』
とても半年ぶりとは思えないやり取りに、心のどこかでは張り詰めていた緊張の糸が柔く緩むのがわかった。
『誰かと話すのって大事な~』
〈なに 急じゃね?〉
〈どした?〉
画面越しに見えた、小さな戸惑い。特になにがあったわけでもないけれど、緊張と不慣れさでなにがなんだかわからないままあっという間に過ぎ去った一年目に比べ、ほんの少しだけ、小指の爪程度の余裕が生まれた今は、振り返って後悔することが度々あった。肉体的にも精神的にもきつい仕事だというのは、わかり過ぎるほどにわかっていた雄英生時代。あの頃だって勉強、実戦形式の訓練やインターン、突然の本番に、大掃討作戦での体験と、他の同世代が経験しないようなことばかり経験した。それでも
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遅番の週(水曜辺り)
リク内容:卒業後会えなくなって恋心を自覚するセロ上の話
卒業して半年くらい? 最初の一年は遊んでる暇ないから余裕なくて気づかないか
二年目でちょっと余裕出て来たくらいとする
どっち視点? 書き始めたらそのままいく
卒業して二年目の夏。ふとした瞬間に、寂しさを覚えるでんき。でんき視点でいく。なんで寂しいんだろう? なにかシェアした時? テレビで懐かしい芸人出てた? あいつこれ好きだったなー、みたいな? せろ視点のがいいかな。テレビ見てだったらせろ。アイスだったらでんき視点。いっそ両方の視点。両方。一人称⇒一人称⇒三人称?