「さて、今日は何食べたい?」
「えっとね…今日はオレが作ってもいい?」
「え?モモが作るの?」
てっきり、肉系の料理のリクエストがくるかと思っていたら、まさかモモが作ると言い出すとは思ってもみなかった。
まったく料理をしたことがないに等しいモモだが、一度だけ僕に手料理を振る舞おうとしたことがある。まぁそれも、僕が止めて完成にまで至らなかったけど…。だって、モモの包丁さばきを見たら誰だって止めたくもなる。
そんなモモを見てから、料理担当は僕で食べる担当はモモみたいな感じで今までやってきた。
「ダメ?いつもユキに作ってもらってばっかりだからさ、たまにはオレがユキに手料理振る舞いたいなぁと思って」
「ダメっていうか…」
「ほら見て!エプロンも持って来たんだよ!モモちゃんのエプロン姿見たくない?」
ズルいな。僕がモモのエプロン姿を見たくないわけがない。それを分かっていてエプロンを持参したんだろう。
「…何作るの?」
「カレー!」
「カレーか」
カレーなら安心か…?確かフレンズデイの合宿でモモたちがカレーを作ったんだっけ。包丁も火も使うけど、モモだって子どもじゃないんだからカレーくらい……いや、本当に大丈夫か?ニンジンを皮ごと鍋に入れたりするかもしれないし、包丁で手を切る可能性だって―
「ユキ」
「なに?」
「オレのエプロン姿くらいじゃ釣られないよね…。ごめん、やっぱりさっきの無しにし、」
「いいよ」
「え?」
「その代わり、僕もそばで見てるから」
「いいの?やった!オレ、ユキのために頑張るから!」
「ふふっ、楽しみにしてる」
僕の言葉を聞いて嬉しそうにエプロンを着るモモ。本当いじらしい。
「じゃーん!今日のために買ったエプロンだよ!どう?新妻っぽい?」
「そうね、似合ってるよ、母さん」
「やだ、ダーリンたらいやらしい目で見ないでー」
「見てない、見てない」
「見てないの!?」
「今から披露される包丁さばきが気になって、いやらしい目でなんか見れないよ」
「モモちゃんだってやる時はやるんですぞ!」
「ヤる時はヤる?」
「ダーリンってばやっぱりいやらしい目で見てるんでしょ!」
「さ、まずは野菜から切ろうか」
「オレのことスルー!?」
「だって早く始めないといつ終わるか分からないじゃない」
「そうですけどー…」
「モモ?」
モモが難しい顔をして僕のことを見ている。
「やっぱりユキはあっちに行ってて!」
「え?」
「だってユキ、絶対にオレがすることに口出してきて結局ユキが全部作っちゃいそうなんだもん!」
「そんなことな、」
「そんなことありますぅー!ほら、ユキは大人しく良い子にして座って待ってて!」
「……」
絶対にないとは言い切れないけど、モモが心配なんだから仕方ないだろ…。なんて、口にする前にモモにリビングのソファーへと追いやられてしまう。
それにしても、どうしてモモは一人で作ることにこだわるんだ?
「じゃ、夕飯までゆっくりしててね、ダーリン!」
「はいはい」
*******
ダン―!ガチャン―!
「うわ!?」
「……」
背後から物凄い音とモモの大きな声が聞こえてくるんだけど…大丈夫なの?これ。
さっき、気になってモモのところに行こうとしたらモモに怒られた。「オレがどうなってもいいの!?気が散るからユキは大人しくしてて!」って、刑事ドラマの犯人さながらの僕への脅迫。仕方なく僕は録画していた映画でもみて気にしないようにしてはいるものの、やっぱり気にな……あれ?静かになった?え、なに。カレー完成したの?匂いを嗅いでみると、カレーの匂いが微かにしてきた。
「モモ?カレー、出来たのか?」
「え!?あ、えっと…」
「モモ?」
「あー、ごめん。やっぱり今日はどこか食べに行こう!」
「どうして?カレーの匂いするから、出来たんだろ?」
ソファから立ち上がろうとすると―
「こっち来ないで!」
なんて、またそんなことを言われた。
おかしい。カレーの匂いはするからカレーは出来ているはずだ。それなのに、どこかに食べに行こうなんて言う?何かあったに違いない。
僕はモモの声に反して、モモがいるキッチンへ行く。
「ユキ!?来ちゃダメだってば!」
「出来てるじゃない」
「……でも、美味しくないよ。カレー食べたいんならさ、美味しいカレー屋さん知ってるからそこに行こうよ!」
「別にカレー屋さんのカレーが食べたいわけじゃない。モモが作ったカレーが食べたいんだ」
「ユキ…」
食器棚から皿を出して、ご飯を盛る。そこにモモが作ったカレーをかける。
所々まだ皮が付いていたり、形が不格好なジャガイモやニンジンが目立つが気にならなかった。モモが僕のために作ってくれたから。
「いただきます」
カレーのルゥーが足りなかったのか、ちょっと味が薄めだけどモモの愛情は濃いくらい入っているのが分かる。手を後ろに隠しているけど、さっき「いてっ!」って聞こえてきたから指を切ったんだと思う。苦手なくせに僕のために料理をしようとしたんだから、愛情が入ってないわけがない。
「……どう?おいしい?」
「美味しいよ、モモ。また作ってね」
「うん!」
僕の言葉にモモは嬉しそうに笑った。
END
なや
今日もユキモモ書いていきます!もしよかったら、コメント残していってください!
01:06
なや
あ、しまった。カレーだと煮込み料理だから火が通り過ぎてても平気なの、か?
45:05
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今日のなやのユキモモ(2)

なや

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今日のなやのユキモモ
料理を振る舞われる。見た目はそんなに良くないし、少し火が通り過ぎてるけど優しい味がする。「おいしい?」ってそんな顔で聞かれたら、イエスとしか答えられないでしょ。また作ってね。

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執筆開始 : 2020年02月18日 20:08
最終更新 : 2020年02月18日 21:02

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