――えぇ、最近は暑いと思えば急に冷えて、着るものにも迷いますね。
天候もなかなか安定しないですが、もうそろそろ秋雨の時期ですか。
その前に台風がやってきて、15号、そして19号と、とんでもない被害となったわけで、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
嵐過ぎ山も家も泣き崩れ海へ流れる人の涙よ
……と、1つ詠んでみたわけですが、なんともやるせない気持ちになるものです。
最近、『源氏物語』の校正されたものが出てきたと聞いて、現代語訳で持っていたと思ったらなかったので、仕方なく『枕草子』を手に取ったのですが、川の名前について興味深い段がありました。
『河(かは)は飛鳥川、淵瀬(ふちせ)も定めなく、いかならむと、あはれなり』。昨日は深かった底が今日は浅瀬になっている、と水位が変わ
りやすいことから「無常」の象徴とされ、世の中が変わりやすく、今の世もすぐに過去のものになってしまう、という例えとして和歌に詠まれているそうです。
『世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵(ふち)ぞ今日は瀬になる』
世が無常ならば、少しずつでもその水が引いていくよう、切に願うものです。
さて、そんな嵐が過ぎるのを待つ母子が、言葉遊びをしているようです。
「水引くは今日か明日か飛鳥川」
「……じゃあ、『白雲のように流れてしまえ』」
まあ、今どき連歌なんてのも珍しいものです。母が上の句を、子が下の句を詠み、次は母が上の句を継ぐ番。
「『縁日のせっせと舐める綿あめも』、でどうかしら」
「雲みたいな綿あめ!」
子は大層喜んで、綿あめが食べたいなあ、とつぶやきますが、母は『夏も終わったからねえ』と苦笑いしながら、子の句を待ちます。
「縁日のせっせと舐める綿あめも……『祈る両手でくるくる回す』、でどう?」
顔より大きい綿あめを、大事そうに抱える我が子の姿を思い浮かべて、母親も思わず笑顔になります。次を考える間、母は灯りを見上げて、ふと思いついたようです。
「そうね……『秋茜舞う高い空追いかけて』」
「あっ、教科書で見た!」
「竹とんぼ、覚えてる?」
「それ!」
「雨、最近ひどくなること、多いわよね」
「ほんと、嫌になっちゃうよ」
嵐がひどくなかったとしても、「明日は我が身」の時代といえましょう。まさに、お天道様ですら飛鳥川のよう。
願掛けでもしようか、とほほえみ合って、子はスリッパを履いた足をぶらぶらさせる。
「秋茜舞う高い空追いかけて、『どうか明日は天気になあれ』」
ほら、表だよ。と子は言います。
どうにか、まずは皆さんが生活を立て直せることを願い、こう締めましょう。
嵐過ぎ山も家も泣き止んで空へ願うは晴れへの一歩
お粗末さまでした。
(了)
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うらひと
さっき浮かんだのにすっとんだ
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うらひと
そしてひどい字余りで気がそれる
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届け、言葉の力PJ 2
初公開日: 2019年10月20日
最終更新日: 2019年10月20日
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