歳時記創作:歳時記(「いちばんわかりやすい俳句歳時記」辻桃子)の言葉からランダムで一つ言葉を選んで、SSを書く創作のことです。
今日は秋:植物 鳳仙花 です。
書いた後はノベプラにアップします。
(コメント返しはコメント欄でしたらいいですかね、そうすることにします)
↓ほんぶん↓
爪を真っ赤に染めた。秋だから赤、というわけではなく、家にそれしかなかったからだ。いつか必要があって買ったものだったが、ずいぶんと前のことなので液はどろりと粘りを帯びていた。除光液で少し溶かせばよかったが、そうするのも面倒でそのまま塗ってしまった。爪の表面に膜を張り、主張を始めるマニキュアにため息をついた。
(無駄な努力だって、分かってるのに)
明日会う男が、どういう気持ちで自分を食事に誘ってきたのかが分からなかった。昼食の時間にさらりと誘われてしまったものだから、裏が読めなかった。
ただ、食事に誘ってきたということは、少なからず期待してもいいということも知識として知っていたので、化粧台の奥底から暗い部屋の中で爪を塗っていた。
ごく一般的な展開としては、何度か回数を重ねたあと、告白されてそのまま恋人になるということも知っていたので、もし仮に向こうにその気が最初からあれば別に爪を塗るなどといった特別なこともしなくていいというのは分かっていたが、でもそうでもしないと落ち着かないのだ。
なんといったって、そのごく一般的な展開をすり抜けてきたのが自分である。同僚が羨ましがるような展開まで持って行けたとしても、結局、話が流れてきた。楽しかった、で終わってきたような女だった。だから、この機会をものにしたいという気持ちもあった。
でも、どうせ無駄になるだろうな、という気持ちもあった。
暗い部屋の中で爪を塗っている自分を客観的に眺めると、みじめな気持ちになってくる。しかし、乾かさなければ寝れない。
(絶対じゃないのに、馬鹿みたい)
明日着る服も決めたし、つけるアクセサリーも決めた。前日から決めるなんてどうにかしてる。
半分諦めの混じったため息をつき、手をぶらぶらとさせる。
乾いたことを確かめると、顔に化粧水をつけ忘れたことを思い出し、慌てて打ち付けたあと、じめっとした布団の中へと入った。
↑ほんぶん1段落ここまで↑
ここまで一段落、700字
めっちゃ雲行き怪しい。おちるかなあ。ちょっと推敲。鳳仙花だからなあ。
なんかあれ、このやりかた、HTMLサイトのあれ。--!ここまで!--のやつ。HTMLシートの中にメモを残すときに使ったりしてた。裏メモで実際には表示されないんですよ。さてそろそろ書くか。
↓ほんぶん2段落↓
慣れないハイヒールに足を突っ込んで、夕暮れの街を歩いて目的地まで行く。相手のほうが先に店の中に入っていたので、どきどきとしながら待つ時間はなかった。店はこじんまりとしたイタリアンのレストランで、前から気になっていたところを選んだらしい。
話は仕事のことからプライベートなことになり、お互いの生活スタイルや趣味の話になる。そのあたりで、やっぱり、という気持ちが心の奥底でむくむくとしてくる。
どうにも、趣味が合いそうにない。にこにことして聞くのはいいが、話の内容の半分は理解していないし、相槌も適当だ。相手が嫌にならないように頷いてはいるので、向こうはいい気分で喋っているが、徐々に心が冷えてくるような感覚になる。
暗い部屋の中で一心に爪を塗ったのが、やっぱり無駄に終わってしまった瞬間のように感じた。
自分はお人よしだ。相手を悲しませないようににこにことする仮面被りだ。そして、相手の好意を受け取ったふりをして、結局受け取れず断る。
だから、毎回、あとすこしというところまでいっても、実らず終わった。自分から終わらせてきたのだ。
食事が終わって、ひとり電車に乗り込んで、SNSで「今日はありがとう、楽しかったです」とだけ述べて、また暗い部屋に帰る。
開け放たれた窓の向こうに、実をたっぷりとつけた鳳仙花が見えたので、冷めた心のまま庭に出た。
ねっとりとついたマニキュアと同じ、赤い花をべっとりとつけた鳳仙花だった。
でっぷりと太った実を爪先ではじくと、ぱちんと実がはじけて種が飛び散った。
(ああ、これ。これ、私ね)
綺麗な花をつけておいて、触るなと言わんばかりに種を飛ばす鳳仙花が、自分と同じように見えてしまい、暗がりの中でひとり笑ってしまった。
ひとりでに寄ってくる男に、これ以上寄るなと自分からはねのける自分のようで、それがおもしろくて、しばらく種を散らしていたのだった。
無理矢理おとした。
鳳仙花、3年生の理科で育てるけど、あれ栄養あげると木になるよ。
種大量にできるから楽しいんだけど、失敗する人は失敗するんだよね。
花言葉しらべたら「私に触れないで」だったので、それで書いた。たぶん一人称の女(今回は掌編なので無名)は美人寄りで、おしゃれもなんとなく(義務的に)やってる。誤解した男をばっさばっさ斬っていくタイプや……。
字数は1500なので、早かったほうかなーーーーーーー。まあ単発だしなー。
ノベプラには本文だけのせます。
ほんまやあとがきじゃん。
♡ありがとね~~
ちなみに歳時記には
鳳仙花:赤、白、紫、絞りなど花弁をもみつぶして、爪を染めて遊んだ。実は縦に割れやすく、熟すとはじけて種が飛ぶ。
って書かれてたので、冒頭マニキュア塗らせました。
私は職業柄&ピアノで塗らないんだけど、マニキュア描写はめちゃくちゃ好きです。前も似たようなの書いたわ。何度でも書ける。
では無事おちたので、配信ここまでにします。ありがとー。