木曜が近づいてくると上映作品が切り替わるわけですが、今週はいろんな作品が終わってしまうので焦りつつ見に行きました。
 というわけで1本目はこれ!
 以前テアトル梅田に行ったときに知って脳内チェックしていた作品。見よう見ようと思ってるうちに後回しになってしまってましたが、TLにひしめくSF好きの人々の評判が軒並み良好なので見に行くことに。
 舞台は人類が火星にまでその版図を広げた23世紀。火星の都市ノクティスでは、人間とロボットが共存していました。しかし社会からは未だ貧困はなくならず、募った不満はロボットに向けられる日々が続いていました。
 サイバー法でその行動と権利を制限されているロボットを解放しようとする運動と企業が対立するノクティスで腕利きの私立探偵として働く強化人間アリーヌとその相棒であり一度死亡してロボットとして蘇生したカルロスは、ロボット解放運動に関わったハッカー、ロベルタを逮捕したものの、雇い主であるロイジャッカー社の社長であるクリスからそれ以上の追求を止められます。その不可解な動きに不信感を覚え、独自に捜査を始めるふたり。火星都市ノクティスでうごめく陰謀の正体とはーー?
 いやー面白かった! 本作を一言で言うなら「攻殻機動隊」+「ブレードランナー」+「アイうた」と言った感じでしょうか。すなわちそういうのが好きな人が求める要素はぜんぶ入ってます。
 まず目を引いたのは、「23世紀の火星都市」という舞台を形作っている様々なガジェット。
 死亡後に人格をロボットに移植して蘇生させる保険、ホログラムの店員、事件当時の様子をそのまま再現する3D映像、衝突と同時に車内に発泡材を充填してドライバーを守るセーフティシステムなど、いかにも未来世界の技術といった感じのガジェットがたくさんあり、世界観を楽しめます。また、「ブレインファーマー」と呼ばれる薬剤で脳を通常の5倍活性化させて20時間データを取り続けるという、明らかに攻殻機動隊のゴーストダビングをモチーフにした技術があるんですが、これを学費に困った学生が利用しているというのがまさに「未来世界の闇バイト」といった感じ。さらには自分の人格をコピーしてアンドロイドに移植し2倍働かせるなんていう違法行為も登場し、一見華々しいけれど犯罪が横行している未来世界をしっかり構築していたと思います。
 さて、本作の一連の事件の真相は、企業や人間社会の邪魔であるロボットたちのプログラムアップデートを利用して「外宇宙に行けば自由になれる」という意識を植え付け、ロボットたちを火星から追い出そうというロイジャッカー社の目論見でした。
 ラストで続々と集まり列をなし、巨大な輸送機を目指すロボットたち。しかし彼らはすでに独自の自意識に目覚めており、彼ら自身の意思で集まっていたのでした。
 銃撃戦の最中にアリーヌを失い悲しみに暮れるカルロスもまた、ほかのロボットたちとともに機体を捨てて輸送機に人格データを転送し、新天地に向かって旅立っていきます。
 古いSF作品では、ロボットは単純な労働力、人間の代替品、心を持たず不完全であるが故に人間に憧れる存在として描かれるものでした。しかし本作をはじめ、新しい時代のSFを観るにつけ、*
ロボットやAIといった機械知性は人間とはまた異なる精神性を持ったポスト・ヒューマンとして描かれている、認識されていると感じます。*
 翻って旧人類はどうかと言うと、取り残されて行く側なんですよね。旅立つ機械知性、見送る旧人類という構図は「楽園追放」でも見られたものです。
 本作からは、火星にまで版図を広げながら未だ罪と業を捨てきれない人類社会という泥の中から生まれた機械知性という種が、新しい形態の人類として歩み始めるまでの巣立ちの物語なのかなぁと思いました。
 そして次の作品まで時間がかなりあったので、↑の感想は全文スマホで書いてみました。今までスマホは長文を書くのには向かないと思ってたので感想は全部帰宅後にPCで書いてたんですが、やってみればできるもんですね。これからは時間があるときは帰宅前に感想を書いてしまうのもいいかも。
 さて、時間をおいて次はこの作品!
 わーいカルト宗教だー!
 なんか最近はカルト宗教やら都市伝説系のホラー映画が充実してて俺によし。
 本作もまた良質カルト宗教ホラーのかほりがしたので見に行くことに。
 舞台は美しい自然が広がるアイルランド。そこでの婚礼の夜、花嫁が忽然と姿を消す事件が発生。それから半世紀後、介護の仕事でその村を訪れた介護士のシューは、正体不明の存在に怯える老婆ペグに出会います。
 老婆に家にある蹄鉄に囲まれた赤い扉、藁を被った不審な人影、どこからともなく聞こえてくる謎の歌――そして、明らかに彼女を監視している「なにか」の存在。
 果たしてこの村に潜むのは何者なのか? シューと老婆の関係は?
 上映中ちょっと疲れが出てしまったのかちょくちょく寝てしまいましたが、かなり不穏な感じで良かったですね。
 こういう閉鎖空間としての小村を舞台にしたホラーは、主人公が生贄として歓迎されるパターンとよそものとして排除されるパターンの2種類に大きく分けられると思いますが、本作はどちらとも言えない感じがなんだか落ち着かない空気を醸し出していました。
 村人たちのシューに対する排他的というか異物を見るような態度がずーっと続くことによって本作には全編に渡ってイヤ~な空気が流れておりあんしんできる場面がほぼない。特に先輩介護士が家を訪ねてくるところとかとてもイヤ。
 さてこういう村の因習にはいろんな根っこがあるわけですが、本作における呪いの根は「血縁+女性性」ですよね。
 シューは導かれるべくしてこの村に導かれたんですが、その理由というのが血縁。かつてこの村で姿を消した花嫁はシューの母親であり、ペグはシューの祖母だった。
 そして赤い扉の向こうに潜む何者かにシューを奪われるのを阻止するためにペグは犠牲になるも、結局シューは母と同じ道を辿ってしまうという……。
 明言はされませんが、一連の儀式は婚礼ですよね。そして花嫁という「女性としての役割」からは逃れられないというラストだったと思います。
 あと公式サイトによれば、本作はアイルランド語を使った初のホラー作品だとか。なので全体的に聞き慣れない言葉が多く、異世界感を強く感じるホラー作品でもありました。
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テアトル梅田「マーズ・エクスプレス」「フレワカ」観てきました!
初公開日: 2026年02月25日
最終更新日: 2026年02月25日
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