ようやく今回で秋季例大祭新刊レビューが完了となります。しかしまだ紅楼夢新刊レビューが1冊残ってるし冬コミ新刊レビューもまだ残ってるしでなんにも終わってません。そして今週末からはまた新作映画がどんどん公開されていくのでなにも終わりません。泥沼か?
・二ッ岩年代記(折葉坂三番地)
 秋季例大祭新刊レビューの最後を飾る、折葉坂三番地さんの総集編、後半3作の感想です。
・星拾いの地にて(戦国時代末期)
 佐渡ヶ島北部の港を支配する土豪である石花将監とマミゾウさんのお話。
 難攻不落と謳われていたものの、上杉勢の侵攻によってあえなく落城する河原田城。その上杉勢が狙っているのは、知られざる金山だった。
 本作で読んでて楽しかったのは、やはりなんといっても後半部分の大バトルですよ。上杉勢の象徴たるオオムカデと化け狸たるマミゾウさんの海上大決戦!
 これが単に殴る蹴るの力押しではなく、一種の謎解きになってるのが面白かったですね。なぜ水を嫌うことがないムカデが軍船を足場にしているのか、ムカデを三すくみに組み込む戦術など、まさに「化かす妖怪」たる化け狸の面目躍如といった感じ。この理詰めバトル、読んでて納得感があり爽快でした。
・愚者の黄金(江戸時代初期)
 金銀山の開発によって大きな権力を手にしようと目論む大久保長安とマミゾウさんのお話。
 「金」をタイトルに関するもうひとつの作品ですが、こちらは金と富に執着し続けた結果、文字通り自ら地獄を作り出してしまうという結末が対照的。「愚者の黄金」とは黄鉄鉱のことですが、長安が最終的に求めたのは本物の黄金以上の業を呼び寄せる地獄の金だったという。
 後半のバトルシーンも迫力があって良かったですが、なによりマミゾウさんの人間社会に深く関わってきたがゆえの怒りが人間以上に人間的であり、人間であるはずの長安が最終的に人間としての一線を踏み越えてしまってるという対照構造が印象的でした。
・明治三十八年の関ヶ原(明治時代)
 最後の作品は、文明開化の時代である明治。
 このパート、総集編の最後の作品であるととも「妖怪の時代の終焉」を感じました。
 これまでの収録作では人間の歴史の中に深く関わってきた妖怪たるマミゾウさんですが、ここに来てなんというかいよいよ人間の歴史に関われなくなってきたというか、人間の歴史という舞台に居場所がなくなりつつあるのを感じました。これまでの収録作では人間の歴史に大きな影響を与えてきたり大スペクタクルを繰り広げたりしてきましたが、ここにきて大きな事件も起こらない会話劇に終始する展開になるのが……。
 作中でも「統計と記録といいう悪魔は、不確かなものを戦場から駆逐し、冷徹な数字で狸達の活躍を押し潰してしまったのである」とあります。もうまさにその通りなんですよね。化け狸の年代記たる本作が、妖怪の時代の終焉とともに終わりを告げるというこのラスト、年代記の終わりとして実にふさわしく、また寂寥感も覚える一編でした。
 今日はここまで。
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第12回博麗神社秋季例大祭新刊レビューファイナルスパーク!の2
初公開日: 2026年01月30日
最終更新日: 2026年01月31日
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