くぅ~疲れましたw
 去年から書いてて終わってなかった秋季例大祭新刊レビュー、これにて完結です!
 なお紅楼夢新刊と冬コミ新刊はまだ読み終わっていない模様。
・二ッ岩年代記(折葉坂三番地)
 個人的イチオシ東方小説系サークルさんの秋季例大祭新刊は、これまでの寄稿作品、折本からマミゾウさんが主役のものを抜き出してまとめた歴史創作総集編。
 面白いのは本作、掲載順が発行順ではなく作中の年代順になっている点。収録されている全6作品は、鎌倉時代初期から明治時代までの長い時代の中で、人間社会にもっとも深く関わってきた妖怪のひとつであるマミゾウ=団三郎狸の視点を通して、日本の歴史のそこここにあった物語を描いていく、まさに「年代記」の名前にふさわしい構成となっています。長大な寿命を持ち、なおかつ日本の歴史のさまざまな場所で人間と関わってきた化け狸という種族ならではの構成ですね。
 オタクはこういう「総集編ならではのギミック」が大好きなのでもっとやってほしい。
 それでは収録作ごとに感想を。
・まだ見ぬ方の花ぞ訪ねむ(鎌倉時代初期)
 東方に限らず、二次創作の楽しみのひとつが「本編では明確に示されていないキャラの関わり」なんですが、本作ではわずか22ページのあいだに、西行法師の最期の地である弘川寺にある庵を守り続ける魂魄妖忌とそこを訪ね続けるマミゾウのやりとりを描くとともに、その裏で同じく「救済」のために白蓮が庵を訪れていたことをほのめかしています。
 特に妖忌に関しては「名前と設定はあるけど原作には一切登場していない」という二次創作的に美味しいキャラであり書き手によってさまざまなバリエーションあるキャラなんですが、本作ではマミゾウさんと関わらせることで「ここに収めたか!」という納得感がありました。ポジショニングの勝利。……であるとともに、やはり鎌倉時代という時期は、東方的に非常に濃い時代なんだなとも感じます。
・こがねの島(室町時代中期)
 今回の総集編には「金」の名前を冠するタイトルの作品が2本収録されていますが、その物語の行き着く先は非常に対照的。こういう楽しみ方ができるのも総集編ならではですよね。
 登場するのは佐渡ヶ島に流され、今や老境にある猿楽の大家、世阿弥。
 「化けるもの」たる狢と「演じるもの」たる猿楽の、似たものであるがゆえの相違。舞台と演じるものとの間にある断絶。演じるものと観るものとの関係。
 本編には「化かされる側が化かされたいと望んでいるから化けられる、演じられる」「舞台には化かされる側がどう化かされたいのか、その意志もまた確かに介在する」という一文があります。
 演じる対象であるあやかしを実際に知ってしまったからこそ、それを演じることができなくなったと言う世阿弥の嘆き。今回読み返しててこれ、なんだか二次創作それ自体にも当てはまる気がします。
・秋風一夜百千年(室町時代中期)
 みんな大好き一休さんこと一休宗純とマミゾウさんの珍道中。
 有名なエピソードと同じく、足利義教から虎退治を命じられた一休さんとマミゾウさんが発見したのは……。
 まず言わせていただきたいのは突然の山月記はずるい。前の2本がシリアスだっただけに不意打ちで顔面パンチ喰らいました。そして虎モードの星ちゃんが図体の割に言動が小動物めいててSUKI。
 しかしそこからの人食い虎の正体がまたうまいことつなげてきたなといった感じ。前述の通り今回の総集編は時代が連続しているので、前の時代に言及されていたことがあとになって出てくるのも納得。収録作のうちのこの前半3本は実質的に3部作と言っていいかもしれません。
 まずはここまで。
 
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第12回博麗神社秋季例大祭新刊レビューファイナルスパーク!の1
初公開日: 2026年01月27日
最終更新日: 2026年01月28日
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