何もないまっしろな空間で二人の弟と再会した脹相は、ふと気づいたことがあったので、目元をぐいと乱雑に袖で拭った後辺りを見渡し、目の前の弟たちに問いかけた。
「ここにはお前たちしかいないのか? 他に誰もいないのか?」
 尋ねられた弟たちは互いに顔を見合わせた後、その質問の意図するところを理解して、困り顔で笑って答える。
「うん、そうだよ。私たちが最初。ここには私たちしかいないみたい」
「……そうか」
 わかってはいたことではあるが、もしかしたらという淡い気持ちも抱いていただけに、肩を落とさずにはいられない。脹相は大きく息をついた。
 百五十年もの前の話だ。九回も女性としての屈辱と尊厳を傷つけられたあの女性が、この場に居ないということは新たな幸せを生きているのだろう。むしろそのほうが良かったじゃないかと。そう自身に言い聞かせる。それは他の弟たちも同じだーーと諦めようとしたところで。すぐ下の弟が脹相の右手を。続く三番めの弟が左手を。それぞれ引いて脹相をひっぱる。
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