秘密主義の恋人を持つと、心身が疲労する。そのことをもっと早くに知っていればよかった。出来るなら恋人になりたいと、自ら願う前に。
何しろ合理性を尊重した愛情なんて悠介は知らない。はなから論理的にはなれない彼は、秘密の開示を求められるはずも無かった。
恋人のkはその日の昼食さえ、言いたがらないたちである。綺麗な髪なので、どこの美容院に行ったのか聞けば、それも濁す。追求しようとすれば、嫌な顔をしてのらりくらりと交わす。それでも気になって話を聞くと……漂うのは別れの気配である。
悠介は彼女に、特大の人質を取られている。好意とか愛情とか、そういうものだ。