※誤字・脱字等があったらごめんなさい。
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桜の花が咲き始める4月の春、今日から新たな環境での生活が私こと『安藤 夏美』の中で始まろうとしていた。
これまでと過ごして来た友達もいればあまり関わってこなかった人達もおり、加えて環境がガラリと変わってしまうため、不安なことはたくさんある。
「今日から高校始まるねー」
「ねー。なんか実感湧かないなー」
「今年も同じクラスなんだ!よろしくね!」
「あ、美香じゃん!よろしく!!」
周りの友達がそんな会話をしているのが聞こえる。よくそんなに騒げるものだと思いつつも、私もその輪に混ざろうと席を立って移動した。
そんな時、1人の女の子が教室に入って来た。
最初に一目見た時の第一印象としては、女神だと思った。
この世のものではない、全てを許し全てを救う、まるで天使のように見えた。
色で表すなら、『白』という表現が正しいだろう。むしろそれ以外の表現が思いつかなかった。少なくとも、これまで出会ってきたものの中で一番美しいと言い切れる自信があった。
これが彼女…『宵咲奏』に恋をした瞬間だった。
それ以降、私は彼女から目を離せなくなった。授業中や着替えの時間、昼休みや放課後なんかもずっと彼女のことを目で追うようになった。
また、それだけでは物足りなくなり、帰り道に彼女の後を追うようになった。その結果、無事に彼女の家を特定することができ、防犯カメラとまでは行かないが、盗聴器を仕掛けることに成功した。時々彼女の家での生活音を聞いたりしているが、最高のふた文字しか思いつかないくらい最高のものである。
こんな感じで彼女のことを観察(備考)していく中でいくつか分かったことがある。
まず一つ目に彼女は体力が少ないということだ。朝、学校に登校した時はいつもぐったりして机に突っ伏しているし、体育の時なんて今にも死んでしまいそうな顔で深呼吸をしている様がよく見られる。それを見る度にかなり心配になるり、なんとか駆けつけたくなる衝動を抑えているが、いつでも駆けつけられるように準備はしている。もちろん使ったことないし、使う場面なんて一生来なくていいと思っている。
二つ目に、生活リズムがあまりよろしくないと言うことだ。なんでも、サークルの仲間たちと曲作りを深夜に行なっているらしく、その結果寝てない日が多々あるらしい。よく授業中や休み時間なんかも1人で寝ていることが多い。よく見ると、その美しい顔にもうっすらと隈が出来ているのがうかがえる。
前に『家を特定して、窓から家の中の様子を見た』際にも、机の上にエナドリの缶があるのが見えた。体に良くないので、健康のためにもやめて欲しいと言うのが本音だ。
三つ目に、彼女は普段、ある女子生徒と行動を共にすることが多い。
その生徒とは、『朝比奈まふゆ』だ
朝比奈まふゆは一言で言えば『才色兼備』という言葉が相応しいだろう。成績優秀で何をしても完璧にこなす。しかもスタイルもよく、一部の女子に至ってはファンクラブまで存在するくらいだ。部活は弓道をしており、その姿は誰もが見惚れてしまうような美しさを持っている。まあ、私は奏…いや、奏様一筋なのだが。
そんな朝比奈まふゆは、よく奏様と共に行動をしていることが多い。登下校や移動教室、弁当を食べる時など常に2人でいて、放課後に至っては屋上で過ごしていると言う噂もある。なんでも、2人は同じサークル仲間であり、一緒に曲を作っているらしい。当然、私も奏様の曲は全てリストに入れ、隙間時間に聞いたりしている。どの曲も素晴らしいもので、奏様らしい救いの手を差し伸べるような曲ばかりだった。
『そこまで行ったらもはや恋人では?』と思い、調査をしたところ、特にそのような話は聞かないとのことで安心した。
他にも奏様を観察していく中で、色々なことが分かった。それと同時に、早く私のものにしたいという思いが強くなった。
だから私は奏様の下駄箱に手紙を入れた。『今日の放課後、話があるから3階の空き教室に来て欲しい』と言う文を添えて。そしてその放課後。
奏様が来ることはなかった。
それから私は何度も手紙を送った。下駄箱だけでなく、カバンの中や机の中、挙句の果てには家のポストの中にも入れた。
それでも、彼女が来てくれる事は一度もなかった。
それから1ヶ月近く経った。今日も来てくれる気配はない。
今日も諦めるか、そう思った時だった。
教室のドアが開いたのだ。
私はすぐさま後ろを振り返った。
「奏さ…え…?」
だけどそこにいたのは私が予想していた人物では無かった。
そこにいたのは…
『朝比奈まふゆ』だった。
私は訳が分からなかった。
「なんで…あんたが…」
私はただそう呟くしか出来なかった。
私は確かに奏様に向けて手紙を送った。それなのになんでこの女が。
「ふふっ。混乱してるみたいだね。もしかして奏がくると思ってた?」
「え…」
「残念だけど、奏はここには来ないよ。一足先に帰ってもらったから」
「なん…」
「それで、単刀直入に聞くんだけど、あなたでしょ?最近奏のことをつけたり、奏に手紙を送ってるの」
「!」
なんでこいつがそれを…
「全部知ってるよ。だって、これまでの手紙も全部私が回収して捨ててるから」
「…は?」
「それにあなた、奏の後をつけて家も特定したでしょ?玄関に手紙あったし、何より奏の家に行く時あなたの後ろ姿が見えたし」
「…だから何?あなたには関係な…」
「関係あるよ。奏は私のものだから」
「だからさ」と言って、彼女は私に一歩近づいてきた。
その顔には形のいい笑顔が張り付いているが、有無を言わせない迫力があった。
「やめてくれない?こういうの。迷惑なんだよね」
「っ!」
「それに、奏の家までストーカーした証拠も、これまでの手紙も何枚か取ってある。この意味…分かるよね?」
「…」
この時点で私にもはや勝ち目はなかった。
それよりも…
「悪魔…」
もしもこの奏様が純白の女神だとした、目の前にいるこの女がドス黒い悪魔のようにしか見えなかった。
彼女は私の言葉に一瞬驚いたような反応を示したが、すぐさまいつもの笑顔に戻って再び口を開いた。
「悪魔って…ひどいなあ。そもそもあなたが悪いのに」
彼女の声色は私を嘲笑うかのようなものだった。
「とにかく、今日はもう帰るね。奏を待たせると悪いし」
そう言って彼女は私に背を向け扉に向かって歩き始めた。
「あ、そうそう」
そう言うと彼女はこちらに戻ってきて私の耳元でこう告げた。
「次またやったら、本当に潰すから」
「!」
背筋がこれでもかと言うくらいゾワッとするのを感じた。
普段の彼女からは考えられないような、まるで感情のないような声だった。
そうして彼女は再び向きを変えて歩き始めた。
「ね、ねぇ!」
「うん?」
私は震える声で彼女を呼んだ。
彼女はドアを開け、この教室を出て行く寸前だった。
「あんたにとって、宵咲さんはなんなの?」
最後にこれだけは聞いておきたかった。
なんでこいつは、奏様のためにここまでやれるのか。
2人は決して恋人ではない。だとしたら、こいつにとって奏様は…
「あれ?様呼びじゃなくていいの?」
「っ!…うるさい。早く答えてよ」
なんでこいつはここまで知っているのか。そもそもこの状況でこいつの目の前で様呼びなんてできるわけないだろう。
私を少し揶揄うような素振りを見せた後、少し考える仕草を行い、すぐさま口を開いた。
「運命共同体…かな」
その時の彼女はムカつくくらい綺麗な笑顔をしていた。
彼女はそのまま「じゃあね」と告げ、ピシャリドアを閉めて帰って行った。
私はその場にへたり込むように座った。
なんだあれは。あんな彼女は初めて見た。
何が優等生だ。とんでもない悪魔じゃないか。
「…もう、やめよう」
できれば、2度と彼女とは関わりたくない。
私は自分のスマホを取り出し、奏様に関するデータを全て削除した。
「今何時…?」
目が覚めた私は、枕元に置いてあるスマホで現在の時刻を確認した。窓からうっすらと見える景色はまだ暗いため、恐らくまだ夜だとは思うが。
そこには「1:27」と表示されており、起きるにはまだまだ早い時間だった。
私はふと横で眠る恋人に目を向けた。その寝顔はとてもあどけないもので、見ているだけで癒されそうなものだ。
周りのみんなには私たちが付き合っている事は隠している。いや、もはや恋人などという言葉では軽すぎるかもしれない。それほどまでに、私たちの間には深い繋がりがある。
私たちは運命共同体。私には奏が必要だし、奏には私が必要なのだ。切っても切り離すことが出来ない、それが私たちだ。
だからこそ、私たちの…私の奏を奪おうとする奴らは排除しなくてはならない。
奏は自分の魅力に気づいていない。無意識のうちに周りを惹きつけてしまうため、余計に質が悪い。
今回のようなことも別に初めてではない。これまで何人もの人たちを潰してきた。
あれから数日が経過したが、特にこれと言ったアクションは見られないため、安心した。
本当は今すぐにでも奏のことを監禁したい。奏が周りの人たちの視界に入るだけでも嫌なのだ。今でも奏にGPSや盗聴器を付けたり(本人にはそれっぽいことを言って了承は得てる)、週に一度こうして触れて、私のものだという証を付けてはいるが全然足りない。それでも、できる限りは奏の意思を尊重したいため、高校を卒業するまでは我慢しようと思っている。その代わり、卒業後は同棲という名の監禁をする予定だ。
その時、頭の中に彼女が言っていた言葉が蘇った。
『悪魔…』
悪魔か…確かに、案外的を射てるかもしれない。
奏を全てを救済する女神とするならば、私は正反対の闇に堕ちた悪魔だろう。
まあでも、奏を黒く染めるのも悪くはないかもしれない。
むしろ、早く私の色で染まって欲しい。
「早く私でいっぱいになってよ、奏」
恐らく聞こえてはいないだろう。それでも口に出したくなった。
私は奏の耳元で囁いた後、その額に一つ口付けを落とし、再び夢の世界に飛び立った。
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匿名希望
こんばんは。気軽にコメントしてもらって大丈びです
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202501310301
初公開日: 2025年01月31日
最終更新日: 2025年01月31日
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かなまふssです。温かい目で見守ってください。
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