白い壁が真っすぐに続いていく廊下を渡っていくと、ここがどんな場所なのかと再認識させられた。
体が弱いのか、白い壁に手をつきながら歩いている人がいた。車椅子に座った人を引っ張る若い人もいた。
この病院の中に本当にディホールさんがいるのか、それだけが気がかりだった。
検査室が並ぶ廊下の後に、患者が入院する大部屋が見えた。
一部屋、二部屋、と過ぎていくが未だディホールさんがいるという部屋にはつかない。
そうして大部屋が無くなると曲がり角が待っていた。曲がった先にはようやくそれらしい部屋が出てきた。
ホテルの廊下のように柔らかい絨毯、白い壁に立派なデザインが描かれていた。なぜか今までの病院の雰囲気とはまったく違う、高級感のある装飾がされており、VIPしかいない特別な場所なんだと認識した。
「ここだ。」
209と書かれた部屋、患者の名前を書く札にはクリスチャン・ディホールと確かにあった。
「失礼します。」
ジョンケがノックをした音を聞き、緊張をのみこんだ。
「こんにちは、ディホールさん。本日はとある新人を紹介をしたく・・・・・・」
ベッドに横になっていたのは、本当に本物のテレビでしか見たことのないスターだった。と言ってもテレビで見たような輝かしい姿のようではなかった。
青い服に身を包み、点滴をぶらさげた体はとてもやつれていた。前に立つジョンケの後ろからゆっくりと体を近づいてみると、意外な反応をしてくれた。
「おお、きみか。そうか、そうだったか!嬉しいかぎりだありがとう。」
寝たままだったものの、ディホールさんのほうから手を差し伸べて握り締めてくれくれた。体温を感じた。普通のことなのに普通のことじゃなかった。
「あの、そういえばフリアンはどこへ?」
ジョンケさんが部屋を見渡すが、フリアンさんはどこにもいなかった。
「まさか、、またギターですか?」
「いいや、先生のお話を聞いてもらってるんだよ。だからそろそろ帰ってくると思う。」
「そうでしたか。よかったです」
初めてフリアンさんに会ったあの日、僕は確か学校に行く途中だったんだ。通り過ぎていく人波の中に座ってギターを弾いて歌ってたっけ。
「お父さん、話聞いて・・・・・・・。君は、、、」