いっぽう、その頃。
ルーミアと一緒に博麗神社を飛び立った魔理沙は、日の落ちつつある幻想郷の空を当てどもなくさまよっていました。
「勢い込んで出てきたはいいものの……だいたいあいつ、どうやってこっちから会いに行けばいいんだ? お前知ってるか?」
「知らなーい」
「だよなあ……」
前回の事件の黒幕であり、今回の事件にも関与していると思われている秘神・摩多羅隠岐奈。魔理沙はその隠岐奈を探しているのですが、考えてみればどこにいるのか見当もつきません。
この幻想郷を作り上げた賢者の一人である隠岐奈は、自身の支配する領域である「後戸の国」に住んでいます。同じく幻想郷を作った賢者である八雲紫のスキマと同じように、幻想郷のあらゆる場所に「扉」を作り出すことで自由に行き来し、幻想郷全域を監視しているのです。
しかし、こちらから隠岐奈に会いに行くとなるといったいどこを探せばいいのかわかりません。
「やっぱああいう連中ってのは、なにかしらデカい異変でも起こらないと自分からは出てこないもんなのかね……。いっそなんかやらかしてみるか?」
魔理沙がなにやらぶっそうなことを言っていると、そばをふよふよ飛んでいたルーミアが前の方を指さしました。
「ねえ魔理沙、あれって……」
「あーん?」
ルーミアの指差す方を目をすがめて見ると、三角帽子のつばの向こうにたしかに何者かの影がありました。しかもよく見ればひとつではありません。
「おいおい、あいつら総出かよ……!」
「やっぱりおきなさんだー。おーい、おきなさーん!」
一気に警戒モードになる魔理沙とは正反対に、ルーミアは道端で友だちに会ったみたいにのんきに手を振りながらふよよーんと飛んでいきました。
あいかわらずマイペースなルーミアに、魔理沙はため息をひとつ。ほうきのスピードを上げてルーミアの後を追います。
「おや、ルーミアじゃないか」
隠岐奈も隠岐奈で、友達感覚でルーミアに手を上げて会釈します。その両脇には、二童子こと丁礼田舞と爾子田里乃も一緒です。
「おきなさん久しぶりー。舞ちゃんと里乃ちゃんも元気だった?」
「やあルーミア、久しぶり」
「きゃールーミアちゃんだ! 会いたかったよー!」
きゃいきゃいはしゃいでいるルーミアたちですが、相手はかつての四季異変の元凶です。さらには隠岐奈は前回の「弾幕ダンスバトル事件」の犯人でもあります。とてもフレンドリーに対応できる相手では――。
「ねーおきなさん。おきなさんは、チルノちゃんのこと知ってる?」
そんな魔理沙の緊張感台無しのストレートな質問をぶつけるルーミア。対する隠岐奈は笑顔で答えます。
「あの元気な氷精だろう? 知っているとも。」