やはり妖精だからでしょうか、最初困惑気味だったサニーも、戦っているうちにだんだん慣れてきたというか、リズムに乗って来るようになってきました。踊るように……というか踊りながら上空に躍り上がったサニーは、太陽を背にして振り上げた両手に光が集中します。
日光の妖精であるサニーは太陽の光を浴びることで傷ついた身体を回復する能力を持っていますが、ほかの妖精と同じように異変の影響で力を増したサニーは、太陽の光を吸収することで力を増すことができるようになっているようです。
太陽の光を浴びたサニーの羽根が、細かくふるえながら輝きを増していくのに、チルノは本能的に危険を感じました。攻撃一辺倒で押していくスタイルから慌てて正面に冷気を集中させて氷の盾を作り出すのと、サニーが両手を振り下ろして強力な熱線を放つのはほぼ同時でした。
「そんな氷、すぐに溶かしちゃうんだから!」
ばぢぢぢっ! という音とともに氷の盾が熱線を受け止めました。直撃は避けたものの熱線の威力はすさまじく、氷の盾はじわじわ溶けています。チルノは氷の盾に力を注ぎ込んで、溶けていくそばから盾を再生していきますが……熱線が氷を溶かしていくスピードのほうがわずかに早く、氷の盾は今にも熱線に破られてしまいそうです!
「んぐぐ……なかなかやるわね!」
そこまで追い詰められても、チルノは不敵な態度を崩しません。しかし、ギリギリのところで踏みとどまっているものの、このままではいずれ氷の盾は溶けて砕けてしまうでしょう。
太陽を背にしていることでどんどんエネルギーを供給できるサニーに対して、チルノは自分のエネルギーだけで対抗しなくてはいけません。そして、その時はすぐに訪れました。
とうとう氷の盾に穴が空き、全体にひびが入ります。と思ったときには氷の盾は粉々に砕けてしまいました! 氷の盾を砕いた熱線は、そのままチルノに向かって真っすぐ伸びていきます。
「あははっ! やった!」
勝利を確信するサニー。しかし、その瞬間――。
自分で考えてやったのか、それとも本能的にそうしたのか。チルノは熱線の直撃を受ける瞬間、ものすごい勢いで回転しました。その回転に合わせるように氷の盾が砕け散った氷の粒が渦を巻き、氷の竜巻を作り出します。
「うわわわ、なに!?」
サニーの放った熱線はその氷の竜巻の中で乱反射して、あたりかまわず無差別に飛び散ります。慌ててガードを固めるサニーですが、そこで動きを止めてしまったのは致命的でした。チルノの回転に巻き込まれるようにして集まっていった氷の粒が、巨大なハンマーを作り上げていることに気付いたときには、もうすでに手遅れでした。
「でええええいっふっとべーーーっ!!」
力任せに思い切り振り抜かれた氷のハンマーを、サニーは避けることも受け止めることもできません。