俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ!!!!
 恋人が酔って帰ってきた、というのはそう珍しいことではない、酒が好きなこの人はよく飲んで帰ってくる事があったし家で飲む事も、たまにではあるが俺を呼び出して一緒に飲みに連れて行ってくれる事もある。
 ただ、今日は昔馴染みとの飲みだったせいかいつもより気が緩んでいるようでやけにご機嫌だ、少量でも色が変わる頬はすっかり真っ赤に染まって、可愛いなと思う反面これを他人に見せながら帰ってきたのか…と少し憂鬱にもなる。
 この人の魅力は数多い、優しさやスマートさといった内面的な部分だけではなくその外見のかっこよさや、こうやって酔った時、気を抜いた時の可愛らしさも未だ天井知らずだ。彼が帰る道すがら、すれ違っただけの人間の内何人がこの人に興味を持ってしまっただろう。
 閑話休題、というのが話題転換の時に使うのではなく話が逸れてしまった時本題に戻す際に使用するとは恋人から教わった事だ。
 普段はそうやって俺の知らないちょっとした事を教えてくれたり、立ち振る舞いも大人でかっこいい恋人が、今日は様子がおかしい、酔っているから、なのだろうが、それにしたって、なんていうか、ええと、いや、ダメとかではないんだけど。
「りゅーじくん、なーに? どしたの?」
 俺の膝の上に座り、細い腕を首に回し、俺が支えていないとすぐにひっくり返ってしまう体勢で、じゃれつかれている。
「え、や、なんでもないです、あんたどれだけ飲んだんですか…?」
「ん〜? えっとぉ、あーーーー……ねえ?」
 わかっているのかいないのか、俺と目を合わせたままわざとらしく首が横に傾けられた、可愛い。
 俺の後ろで組まれていた腕が解かれ、指先がそっと頬に触れる、ここまで酔っ払っているのだからめちゃくちゃ酒を飲んだだろうにそれでもなお俺の体温の方が高く感じる。
「あの…?」
「しー」
「え」
「口閉じな」
 次は何をするつもりだろうかとされるがままになっていれば遊んでいた指が止まり頬にきちんと添えられ親指の腹で唇を撫でられる、軽く結ばれた唇はいつもより血色が良くて色っぽい、少し微笑むような形をした瞳がゆっくりと閉じられて。
「へっへっへっへ〜〜〜」
「お、ぁえ、あ!?」
 キス、してくれた!?
 いやきちんと予備動作があった、でも、いや、え
「なん…え!? ありがとうございます!?」
「なんでお礼?」
 恋人でしょ?と楽しそうに言われ大きく頷けば今度は頬に、顎に、鼻に、首筋にと次々キスが与えられる、なんだ!?なんかいいことしたっけ、俺。
「あの、えと」
 別に初めてのキスじゃない、でも普段はいつも俺がしたがるばかりで、この人からしてくれる事なんて滅多にない。(それについてはこの人が悪いのではなくて二人でいられる時間少しでも多くこの人に触れていたくて隙さえあればキスしたり手に触れたりする俺のせいだとは思う。多分この人がキスしたいと思う間もなく俺がキスしたり触れたりしている)
「なんかのご褒美とかですか…?」
「ごほーび?」
「だって、キス…」
 なにしたらこんな風にキスしてもらえるのかわからない、おそらくただの棚ぼただろうけど、つい「こんな幸せに理由がないとおかしくないか」と聞いてしまえば一瞬不思議そうな顔をした彼は大変嬉しそうに笑う。
「ごほーび、そうかも」
 ふと唇から笑みが漏れる、初めてキスをした時に柔らかくてしっとりしてて、吸い付くみたいな唇に馬鹿みたいに魅了されたし、乾燥でカサカサの自分の口が申し訳なくなった。
 再び柔らかい唇が頬に触れる、正直ちょっと気持ちいい。
「ご褒美なんすね…」
 こんなにいいご褒美なら毎日もらえないだろうか、いや、毎日だと俺からキスするタイミングがないから二日に一回くらい。
「おれ、まいにちがんばってるから、ごほーび、りゅーじにキスし放題」
 その言葉の意味を理解するのに一分程時間がかかったのと、理解した後は俺も日々頑張ってる分のご褒美をもらうのに必死になったので、リップケアについては完全に忘れてしまった。
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初公開日: 2024年05月16日
最終更新日: 2024年05月17日
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コメント
通勤中に浮かんだやつを消える前に形にしたい、いや違う、する
突然降ってわいた旗主
設定がよくわからないが手こきの話
R-18
あまみや
お酒
前にちょっと説明したお酒の旗主
ログイン限定
R-18
あまみや
すばらしい旅
すべての人間が旅をするSF。旅によって人は自由になり、旅によって人を愛せる。
トチ