それがなんだかうれしくて、わたしはすぐそばにある小さな体を抱き寄せた。
「なんでだったかなー……」
暗闇の中でさらに目を閉じて、わたしは広い夜空を思い描いた。星がいっぱいの、いつも家の窓から見上げていた、夜空。
「わたしさ、実は昔はお嬢様だったんだぜ? でっかいお屋敷に住んでてさ……」
「おやしきー? れみちょんのとこみたいなー?」
「レミリアの? まあ紅魔館には敵わないかもだけど、それでもお金持ちだったんだ」
「そーなのかー」
「でもな……でも、あのでっかい屋敷のどこにも、わたしの居場所はなかったんだ」
「おうちなのにー?」
「どうだかな……」
不思議だった。
いつもなら……というかわたしは一度もこんなに直接的に自分の過去を誰かに話したりはしない。特に親しい霊夢や咲夜にもだ。
でも、なぜだろう。
こいつには、話してしまう。話せてしまう。まるで、星の引力に引かれるみたいに。
「窮屈だったんだ。たしかにあそこはわたしの家だったさ。でも……あそこにわたしの居場所はなかった。だから、どこか別のところに……居場所が欲しかったんだ」
閉じたまぶたの裏に、はっきりと思い出せる。いつも屋敷の人たちが寝静まった後に、そっと窓を開けて見上げた夜空と、そこに瞬く星の明かり。
「ずっと見上げてたんだ、夜空。そこに行きたい、ここから抜け出して、あの広い夜空に飛んでいけたら、どんなにいいだろうって思いながら、夜空を見上げてた」