夕方、今日は陸がオフの日だ。早目に帰って来ると一織から連絡があったので陸は夕飯を作るなら得意のオムライスを作って待っていようと思った。そして、オムライスの準備を早目にしようとしている時に陸のラビチャに天からメッセージが届く。
「ん?……あ、天にぃからだ!」
嬉しそうにラビチャを開いた陸は天からのメッセージを読むと、前に行った収録で貰ったお土産があるから今日の夜に寮に来るという内容だった。
「あ、今日の夜は一織と……」
今日の夜は一織と二人きりだ。前々から夜は二人きりなので楽しみだと話していたが、天がいるのなら恋人同士のスキンシップは出来ない。だが、陸の中では天が遊びに来てくれる事が嬉しいので一織との甘い夜はまた今度でもいいと思ってしまった。
「えっと、天にぃに待ってるって返信しないと……あと、新しく買った王様プリンのスタンプも送ろっと」陸が天に返信をしている最中に寮の玄関のドアが開き、一織の「ただいま帰りました」という声が聞こえてきた。
「あ!一織だ!」
陸はラビチャの返信をするとそのまま帰ってきた一織の方へ走っていく。すぐに天からのラビチャが返ってきていたのを陸は気づかなかった。
「一織、おかえり!」
「七瀬さん、ただいま。急いでどうしたんですか?」
「えへへ〜一織に会いたかったから!」
「ッ!……なんですかそれは。ただ学校から帰ってきただけですよ」
「むっ……それでも一織がいなくて寂しかったんだもん」
「もんって……はぁ。とりあえず今日は誰もいませんから久しぶりに恋人同士としていれますよ」
そう一織が言うと、ゆっくりと陸の頬に手を伸ばして触れるだけのキスをする。ほんの一瞬のキスに陸は少しだけ不満だった。
「……これだけ?」
「……帰ってからすぐなんですからそんなにキスをしませんよ。どうせ七瀬さんの事ですからまた後でねだってくるのでしょう?」
いつも陸がこういう日にベッドへのおねだりをしてくる事を知っている一織は余裕のある笑みを見せる。自分よりも年下なのにそういう余裕な態度がたまにムカつくと陸は思っていたが、そういう一織もかっこいいと思ってしまう。
「ッ!……今日はねだらないもん!天にぃが来るから!」
「え?九条さんが来られるんですか!?」
「うん!さっきラビチャで今日の夜に寮に来てくれるって。お土産を渡したいからって書いてあったよ」
「はぁー。せっかくの日でしたのに……」
「!……一織ももしかして楽しみにしててくれたの?」
「……ッ…ま、まあ、恋人である七瀬さんとスキンシップを取っても冷や冷やしないのはこういう誰もいない時ですし……独り占めも出来ますから」
「わぁ!一織が珍しく素直だ!」
「珍しくは余計です。とりあえず私は着替えてきます」
そう言うと一織は一度自室に戻ってから着替えようとしたが、何故か陸が後ろからついてくる。そして、部屋に一緒に陸が入って来ようとしたので一織は眉を寄せながら後ろを振り返った。
「あの、七瀬さん」
「ん?」
「なんでついてくるんですか?」
「えっと……その……お誘い?かな?」
「………は?」
陸の唐突な提案に一織はブルーグレーの瞳を丸くする。確かに天からは夜に来るとラビチャが来ていたので今はまだ夕方だから時間はあるにはある。それでも、急な誘いに一織は戸惑ってしまう。
「……ダメ?天にぃが来る前に……天にぃくるのは夜だし。たぶん仕事終わりって書いてあったからまだ時間あると思うし」
「ちょ、ちょっと待ってください!急にその……」
「ムッ!だって夜にイチャイチャ出来ないなら今イチャイチャしてもいいだろ?一織はオレとイチャイチャしたくないの?」
まるで子犬のような瞳で陸に見つめられた一織はこのおねだりを断れるわけがない。それに、本当は一織自身も陸とそういう事がしたかったのは事実だ。
「〜〜〜〜ッ……し、したいに決まってるじゃないですか」
「!なら、いいだろ?」
「はぁー……まったく。九条さんが来ても腰が痛いとか言わないでくださいよ。出来る限り優しくしますし、九条さんには付き合っていることを内緒にしているんですから」
「大丈夫だよ!絶対に言わないもん!」
「まあ、バレないように今までしてきたので大丈夫だと思いますが」
「それより早く一織キスして!」
「……はいはい。本当にわがままでかわいい人ですね」
ゆっくりと陸の唇を親指の腹でなぞって少しだけ開けてそのまま優しいキスをする。そのまま一度離してからもう一度触れ、角度を変えてから何度もキスを繰り返す。
「んっ……ッ」
時折漏れる陸の甘い声に一織も興奮をしていき、陸の首筋を一織の綺麗な指がゆっくりと撫でていく。その仕草に陸はビクッと肩を上げた。キスに夢中になっている二人は玄関が開いたままであること、誰かが玄関から入ってきて一織の部屋に近づいている事に気づいていない。
「……ぁ……い、おり」
ゆっくりと一織の手が陸の背中に手を回し、服の中に手を入れていく。陸の滑らかな素肌を一織の人差し指がツーッと這えば、陸は「んっ…」っと、甘い声を漏らす。キスを繰り返す内に陸の両足に力が入らなくなり、そのまま陸は一織に床に押し倒される。頭が床にぶつからないように一織が陸の頭を手で支えた。
「……今日はここでするの?」
「ッ……ベッドまで行く前に一度……あなたを愛させてください」
もう一度キスをしようとした時、ガチャッと一織の部屋のドアが開く。
一織の部屋に入ってきたのは先程陸が夜に来ると言っていた天だ。
「……は?」
二人を見た天は冷たい口調でそう言葉にした。
衣服が乱れて押し倒されている陸、その陸を押し倒してキスをしようとしている一織。どこからどうみてもそういう関係なのは一目瞭然だ。
「く、九条さん!?え、まだ来るのは後だと」
「え、て、天にぃ!?」
「……夜に来るって一度送ったけど早目に上がれそうだから行くねって陸に送ったんだけど……これはいったいどういう事?ねぇ、和泉一織は陸に何をしていのる?」
「あのこれは、その……」
「お、オレ達付き合ってるんだよ!だから、一織とイチャイチャしてて」
「な、七瀬さん!?なんでそれを言うんですか!」
「だって天にぃに見られちゃったから素直に言ったほうがいいかなって」
「だからってあなた今それを」
「ねぇ、もうとりあえず二人とも衣服の乱れを直してそこに正座してくれる?今すぐに」
天の冷ややかな視線、冷たい声に二人は急いで起き上がって乱れた衣服を直して正座をした。その前に天が仁王立ちになり、二人を見下ろす。
「……陸、とりあえず先にこれお土産。お菓子だからあとでみんなで食べて」
「う、うん、ありがとう天にぃ」 
「あ、ありがとうございます、九条さん」
二人がお礼を言うと沈黙が訪れる。二人は何を言えばいいのか分からずに黙ったままだ。
「ねぇ、キミ達言いたいこと他にある?ない?」
「く、九条さん落ち着いてください!私達はつきあ」
「はぁ?」
「あの天にぃ……オレ、一織と付き合ってるんだけど」
「……陸、もう一度言って」
「お、オレと一織は付き合ってるんだけど……あの内緒にしててご、ごめんなさい」
うるっと瞳を波打たせた陸を見て天は鋭い視線で一織を見つめた。
「……陸が和泉一織と……チッ」
「は?なんで舌打ちをされないといけなんですか!?」
「うるさい。ボクはキミに話していい許可なんて与えてないけど?」
「許可って……過保護過ぎますね」
「大事な弟がキミと付き合ってるのが許せないんだけど?」
「て、天にぃ!一織を悪く言わないで!オレも一織の事が好きだから付き合ったんだよ!天にぃに反対れてもオレは……一織と別れない!!」
「七瀬さん……」
「ちょっと……ボクは別れろなんて一言も言ってないよ。陸が選んだのならいいけど……でも……いや、やっぱりちょっと納得出来ないかも。……和泉一織」
「な、なんですか?」
「ふふ、今から二人きりでお話しをしようか?」
アイドルスマイルでそう言ってきた天に一織は悪寒がしてしまった。このあとの長いお説教タイムが待ち受けているとわかったからだ。
「……ッ、はい。いつかはあなたと話し合わなければなりませんからね」
カット
Latest / 61:25
カットモードOFF
01:49
ななし@f6263a
頑張ってー🙌✨✨
チャットコメント
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
文字書き配信
初公開日: 2024年02月18日
最終更新日: 2024年02月18日
ブックマーク
スキ!
コメント
文字書き配信を市子さん(@mili0427_i7 )とやります。
時間は21時〜22時になります。
私はワンドロをします!お題は以前アンケートを取った結果で、「天に付き合っているのがバレちゃうお話し」を書きます。