「……」
あのやかましい声を耳元で喚かれるのは迷惑極まりなかったが、それがいつの間にか日常となっていたように、大人しければ大人しいで落ち着かない。
いつもならこちらから話しかけるまでもなく、それこそ子供のように好き勝手に悪態をついてくるくせに、輸送機の[[rb:格納庫 > ハンガー]]に収まってからはあのサポートAIは一言も喋っていない。それが妙に落ち着かない。
ワンはこちらから声をかけようとして、やめる。
「なんで俺からあのガキに話しかけなきゃいけないんだ……」
『なんか言った? コクピットで独り言なんてきっも』
さっきまで大人しくしていたらこれだ。どこか安堵してしまっている自覚を大げさなため息とともに吐き出しながら、ワンは言い返す。
「いつもギャアギャアうるさいヤツが妙に大人しいんでな。とうとうブッ壊れたかと思ったぜ」
『そしたらワンちゃんはひ
とりでお散歩できまちゅか~?』
「うッせえなこの……」
いつものように言い返そうとした瞬間、コクピットが[[rb:警告音 > アラート]]で真っ赤に埋まる。転瞬、[[rb:格納庫 > ハンガー]]が轟音とともに激しく揺れた。――砲撃されている!
反射的に機体からの操作で[[rb:固定具 > ハーネス]]を解除した瞬間、続く砲撃で輸送機が大きく姿勢を崩し、ワンを乗せた「[[rb:飛虎 > フェイフー]]」はカタパルトから開放されと同時に横ざまに[[rb:格納庫 > ハンガー]]の壁面に叩きつけられた。
かろうじて姿勢を立て直すと同時に高度を確認――堕ちている! このままでは重数秒後には輸送機ごと地面に叩きつけられて一巻の終わりだ。
次の瞬間、ワンは反射的に[[rb:格納庫 > ハンガー]]の天井をアサルトライフル「[[rb:飛刀 > フェタオ]]」の一斉射で吹き飛ばした。爆炎が収まるをの待たずに、ワンはスロットルを全開。
片翼をもぎ取られた輸送機の中から、[[rb:飛虎 > フェイフー]]がかろうじて脱出した。しかし、目的である敵の輸送機の位置はまだ先だ。
(――どうするッ!?)
躊躇している間にも、眼下からは森林迷彩を施した対空砲が激しい砲撃を浴びせてくる。このままでは脱出したにも関わらず、さっき墜落した輸送機と同じ運命を辿ってしまう。考えている時間はない。
「――やれッ!!」