その太陽の下の光景に潜む異様さに気付いたのは、ルビから押し付けられたメモを片手にスーパーで買い物を済ませた後だった。
 雑踏に紛れるように、三人、四人と同じ服装をしている者がいる。あるいはグループで、あるいは一人で、同じ黒いゴシックロリータ風の衣装を見に着けている若い女性たちの姿があった。
 それだけなら別段珍しい光景でもない。若者のファッションにはあまり知識はないが、そうした服装を好むものもいるだろう。しかし、誰もが同じような……ではなく、まったく同じデザインの服を着ているのだ。服だけではない。地毛かウィッグかは分からないが、一様に長いロングヘアに碧のインナーカラーの髪をしている。偶然であるはずがない。まるで誰かの真似をしているようだ。コスプレにしては人数が多いし、なにかのイベントをやっている風でもない。――不気味だ。
 彼女らは非日常的な服装をすることを楽しんでいる様子ではない。逆に、一様にその表情はうつむきがちで暗い。黒いゴシックロリータ衣装と相まって、まるで喪に服しているような雰囲気すらある。彼女らのまとう雰囲気は、明らかに日中の平和な街なかの光景から浮いていた。一度気づくと、その黒い人影はそこかしこに点々とある。
「……」
 いつの間にか私は、スーパーの入口で大量の食材を抱えたまま突っ立っていた。これでは私のほうが不審者だ。
 私はなにか心に引っかかるものを感じながらも、事務所への帰路に着いた。事務所への帰り道でも、同じように黒いゴスロリ服に黒のロングヘアという姿の少女たちを何人も見かけた。その姿に、なぜか心の奥がざわつくような感覚を覚える。
 そのざわつきから逃れようとするかのように、自然と道を行く足取りが早くなった。
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