ようやく第17回東方紅楼夢の感想も終りを迎えます。いやー長かった……まあまだ色々残ってるんですけどね。ほんとうに色々……。
・少名針妙丸おとぎ話合同 一寸法師の胸三寸 海の皇ペーパー版(折葉坂三番地)
第17回東方紅楼夢戦利品レビューの最後を飾るのは、以前レビューしたアマノジャク合同に続いて東方キャラの中でもおとぎ話の住人としての色が濃い針妙丸と、彼女と同じ小人を題材とした古今東西のおとぎ話を集めた合同誌。イラスト、小説、マンガとさまざまな形態で描かれた全14編の物語を楽しめます。
それでは収録作品ごとに感想を。
・一寸法師、旅立ち(みそはぎ氏)
年老いた手のひらに収まる針妙丸のお姫様然とした姿、そしてこれからおなじみのお椀の船に乗って大海原へと漕ぎ出そうとする針妙丸の姿が生き生きと描かれたイラストです。こうして見ると針妙丸もかなり主人公属性の強いキャラだなあと感じます。
・龍山文化-玉斧文様神面朱雀(まさろー氏)
「龍山文化」って初めて聞いたので調べてみたら、「中国北部(華北)の黄河中流から下流にかけて広がる新石器時代後期の文化」だそうで(wiki調べ)。鳥に乗る針妙丸の姿はまさしく「勇姿」と呼ぶにふさわしい。
・酒の縁(あやめ氏)
針妙丸と正邪の住処である逆さ城に突然現れたのはラルバちゃん。一見意外な組み合わせに思えますが、「常世の神」という点で結びついているという。こういう元ネタからの意外な組み合わせが楽しめるのも東方二次創作の面白さです。
・こびととかみさま(禀太郎氏)
繊細な絵柄がストーリーによく似合っている一編。ここでも、瓔花という意外なキャラとの組み合わせとなっています。こちらも常世の神つながりかな? こうして見ると針妙丸はその立ち位置からしても日本神話におけるさまざまな神々と関わりを持つキャラクターだと思い知らされます。
・小人相対性理論(ホプレス氏)
和の小人伝説が一寸法師、では洋の小人伝説は?ということでガリバー旅行記です。小人である針妙丸から見たガリバー旅行記はいったいどんな物語に見えるのか。小人族にとっての「ものさし」というワードが印象的。
・酒場姫剣舞(ぐい井戸・御簾田氏)
テーマとなっているおとぎ話「ちんちん小袴」はなんか聞いた覚えがある気がする。けっこう忘れられがちな針妙丸の持つ「姫」という属性とおとぎ話の内容がうまく合致してたと思います。あと針妙丸のダンスシーンがセクシーで俺によし。
・GOODY TWO SHOES(tog.氏)
西洋の小人伝説としてはオーソドックスな小人の靴屋。それを針妙丸と正邪の関係性にうまく当てはめた一編。同じく「相手の靴を修理する」というアクションに対して、その修理された靴に対する扱いが両者正反対なのが実にカップリングとしての完成度が高い。
・小人族の英雄(銅折葉氏)
針妙丸と同じく日本の代表的なおとぎ話の住人であるかぐや姫こと輝夜のお話。二次創作の醍醐味である「原作では接点はないものの設定的には明らかに関連があるキャラの絡み」が楽しめる一編であり、なおかつ針妙丸の出自にも踏み込んだ創作力(そうさくぢから)が強い作品です。
・スクナとチニタ(アラツキ氏)
「小人」と言うと一寸法師と並んで有名なコロポックル伝説を取り上げたお話。コロポックルについては実はその背景や伝説はあまり知らなかったので、こういうつながりがあるのかと学びを得ました。「小人」という言葉はしばしば差別的なニュアンスを含むものですが、それも含めてコロポックル伝説の背景を考えさせられる一編でした。
・VSちんちん小袴(海鮮キジンヤダー氏)
輝針城本編以前の針妙丸と正邪の冒険をおとぎ話になぞらえて語る一編。「ちんちん小袴」「魔法のしゃもじ」「糸巻きの歌」合計3つのおとぎ話をうまく1編のお話に仕立て上げた作品です。こうして見るとやはり針妙丸はおとぎ話の住人なんだなあと改めて感じますね。
・俵の中の闇(ゆ氏)
いわゆる小人にまつわるおとぎ話はいくつか知ってますが、小人側が悪行を重ねてなおかつ最後まで捕まったり処罰されたりしない話というのはおそらく初めて知りました。針妙丸自身も正邪がいることもあって悪役として描かれているのは一度も見たことがなかったのでかなり衝撃の作品でした。
・祖の裔(ハサマリスト氏)
針妙丸の、ひいては正邪の出自を神話の時代にまで遡る一編。改めて針妙丸と正邪の結びつきの強さと深さを感じます。とともに、針妙丸の「英雄」としての側面を改めて印象付けられる作品でした。姫が文字通り秘められしものなら、英雄は旅をするものなんだよな。
・一寸先はお伽の国(蛍光流動氏)
正邪ってなんか妙に割烹着が似合うというか所帯じみた姿が似合うよな……。そんなおかんモード正邪が針妙丸、紫苑、天子の3人になぜか紙芝居形式で小人にまつわるお話を聞かせる一編。というか針妙丸周りの人間関係ってなにげにハーレムなのでは。
次、「海の皇」ペーパー版。
こちらは以前に一冊の小説本として改稿されたものを読んでますが、こちらのペーパー版もまた違った味わいで楽しめました。こちらは郭海皇と美鈴のバトルシーンがメインとなっており、元ネタである刃牙の迫力ある、なおかつ血なまぐさいバトルシーンがしっかりと文章化されています。それよりなにより、東方×刃牙、美鈴VS郭海皇という組み合わせを実現した時点で「勝ち」だよなあ……。
今日はここまで。ふーようやく第17回紅楼夢戦利品レビューが終わりました。しかし俺たちの戦いはこれからだ!