快晴、という呼び方がふさわしいほど澄んだ青空の下、細い紫煙が緩やかに解けていく。浅くベンチに腰掛けながら往来を眺めては、待ち人の姿を探してしまう。やれやれ、私が待ち合わせで待たせる側から待つ側になるなんて。人は恋をすると変わるとは聞いたが、まさか自分がそうなるとは。
 ふと、遠くから聴き慣れた靴音が聴こえた気がして顔を上げる——雑踏の中でも彼の靴音を聴き分けるなんて、ヘルガー以上に耳が良くなった気分だ。
 息を上げながらこちらに向かって駆けてくる彼が、珍しく髪を跳ねさせているのが、なんだかこれ以上なく愛おしく感じる。
 私は思わず口角を上げてしまいそうな気持ちを堪えながら、煙草を携帯灰皿に押し付けて、片手をひらりと振って挨拶するのだ。
「やあ。時間通りだね」
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