いつものこととは言え9月、10月も怒涛のラインナップが待ってるので命がいくつあっても足りません。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 こないだ見た「哭悲」に続き、今回もホラーです。
 舞台は台東北部の小さな村。そこで平和に暮らす現代っ子のミン。そんな彼女の様子が、父親の葬式以降異常な行動を示すようになります。悪霊にとりつかれたということで、彼女の叔母に当たる祈祷師ニムが悪魔祓いを試みるのですが……。
 まず最初に言及しておきたいのが音響。塚口の音響に関してはいマサラではなく今さら言うまでもありませんが、塚口音響は実はホラーとの相性が抜群なのでは。
 本作の後半は暗闇の中でのパニック状態が続くんですが、周りがろくに見えない状態でどこからともなく不気味な唸り声や足音が聞こえてくるシーンの臨場感たるや背筋がゾワゾワしっぱなしでもう最悪。(褒め言葉)
 なんかもう異様な臨場感のある音響によって、気配がするんですよ悪霊の。怖いですねえ、恐ろしいですねえ。
 このじわじわと真綿で首を絞められるような不気味な音響を最大限に活かしたホラー特集とかして欲しいです。コッ
 そういやこれも「継承」繋がりだな。人が燃えるし。
 本作は前半と後半で大きく毛色の違った作品となっています。
 ミンがおかしくなっていく前半部分は、取材班がタイの祈祷師の文化をカメラを通して撮影していくというモキュメンタリー、後半は一気に怒涛のパニックホラーになるのが面白いところ。
 モキュメンタリーとは言え、祈祷師やタイにおける霊や神々についての言及はまったくのフィクションではなく、たぶんほぼ事実。
 ごく自然に神や霊というものを信じ、信仰しているからこそ前半部分の恐怖が身近に感じられます。
 前半部分は血しぶきドバドバ内臓グチョグチョといった直接的なスプラッタ描写はないんですが、ミンが徐々におかしくなっていく様子がたっぷり時間をかけて描写してるので、極限までじわじわと恐怖のボルテージが上がっていきます。
 祈祷師のニムはミンを救うべくさまざまな儀式を行うんですが、これらの儀式が具体的にどういうものなのかは作中では詳細な説明はありません。しかし、なんかもう絵面でえらいことになってるのがありありと分かるのがまた怖い。
 そして、ミンの豹変の原因となったものがなかなか特定できず状況が二転三転していき、ホラーお約束の「儀式が終わるまで○○しちゃダメ→案の定○○する」という様式美を経ての、儀式失敗の後半の潔いまでの崩壊っぷりは爽快感すら覚えます。
 R18指定なのでなんもかんもおっぴろげなんですが、そうした直接的なスプラッター描写よりも……なんていうんでしょうね、悪霊やカルマといったスピリチュアルな文化の染み付き方、人々の認識への根深い食い込み方の方にぞっとしました。
 ……と見せておいてのあのラストよ! まさに最後の一手で盤上を文字通りひっくり返すあのラストシーンは、本作で最後の最後まで描写されてきた「根深い信仰」を一気に頼りない薄皮にしてしまうあたり、信仰というものの両極端な側面を同時に見せてくる怪作だったと思います。
 たしかに本作では、ミンをはじめとして異常な行動を示す人々が描写されていますが、いわゆる超常的な現象は数えるほどしか出てきませんし、それもいかにもな一大スペクタクル映像とはなっていません。このへんは緻密に計算しているんでしょう。
 そこにあのラストの一言を入れることで、そもそもこの一連の事件はぜんぶ茶番だったのでは?とすら思えてしまうのが一番のホラー要素なのでは……。
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塚口サンサン劇場「女神の継承」見てきました!
初公開日: 2022年09月05日
最終更新日: 2022年09月05日
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