この日記は3/11に書かれていますが気にしてはいけません。
時が未来に進むと誰が決めたんだ。ターンAターン。
・クラウダーよ福を追え(折葉坂三番地)
毎回クオリティの高い作品で楽しませてもらっているサークルさん、今回は橙と、同じ猫キャラである虹龍洞の新キャラ・豪徳寺ミケのお話。
収録されているのは表題作である「クラウダーよ福を追え」と「大吉キャリコは黒が嫌い」の2作。
まずは「クラウダーよ福を追え」の感想を。
同じ猫キャラということでイラストなどでは一緒に描かれることが多い橙とミケですが、小説ではどんな形で絡んでいくのかと思いながら読んでいたんですが、招き猫同士の縄張り争いやいさかいから、そこに介入している黒幕を2人で突き止めるという展開でドキドキしながら読ませてもらいました。
特に一連の事件のきっかけとなるのが、ミケと同郷である豪徳寺シロおよびその一族の急激な変化なんですが、このへんの描写というかさじ加減が実に上手いと思います。
個人的に、二次創作でオリキャラを出すのはかなりリスキーな行為だと思ってます。その理由は、二次創作にオリキャラを出すとオリキャラがメインになってしまったり原作キャラが引き立て役になってしまったりすることが多いから。二次創作という料理にオリキャラという調味料を上手く活かすには、かなりの技量を要するものだと言えるでしょう。
しかるに本作では豪徳寺シロおよびその一族はあくまで舞台装置、ストーリーのギミックにとどまっており、カメラを向けられているのはあくまで主役である橙とミケのふたりとなっているのが上手いと感じました。
そして一連の事件の黒幕であった埴安神桂姫との対決シーン。
結局ふたりは逃亡するのが精一杯だったとわけですが、ここで単純な力量差ではなく相性が決め手となっているのがなんとも呪術的で好き。確かに猫と瀬戸物なら猫のほうが勝つよなあ。
次、「大吉キャリコは黒が嫌い」の感想。
こちらは直接対決ではなくカードバトル。
こうしたゲーム描写は、絵のない小説媒体の場合あんまり複雑になると読んでてなにがなんだかわからなくなることも多いものですが、本作は掌編であることもあってごくシンプル。
そしてこのシンプルさが、そのまま橙やミケの力量や知見に見合っているのがまたさすがといった感じ。
思うに、「このキャラならこのくらいのことをやるだろう」というキャラクターに合わせての力量や行動の想定って、言うほど簡単なものじゃないと思うんですよね。
今回も学ぶところの多い一冊でした。
今日はここまで。