細く頼りない指先が触れると、死んだはずの三編みの少女の顔が、明らかに微笑んだ――ように、私に見えた。
「玲音、君は――」
「記憶は記録。だから、忘れてもなくならない。記録は記憶。だから、散らばっても亡くならない」
玲音がか細い声でそうつぶやくごとに、その言葉がまるで魔法の呪文であるかのように、周囲の景色を変えていく。
けばけばしいネオンに彩られた街は、夕暮れの列車に変わっていた。
足元から伝わってくる規則的が現実感を失わせる――いや、そもそもここは現実ではないだろう!
私の目の前に座った玲音はいつの間にか私服姿になっていた。
「私になにか、聞きたいこと、あるんじゃないの?」
さっきまでのおとなしい様子とは一変した、挑発的な口調で玲音が言う。だが、これも紛れもなく玲音だ。私には分かる。私は記憶している。
「君は――」
言いかけて、ためらう。なぜ? 今、私がもっとも聞きたい問を口にすることをためらっているのか。本当は答えが聞きたくないのか。それとも――。
「本当はもう、知ってるんでしょ?」